【プログラミング教育業界】Progate CTO 島津氏が語る「プログラミングの面白さを広めて、IT業界の人材不足をカバーしたい想い」

こんにちは!TECH Street編集部です。

今回の「CTOインタビュー」は、株式会社Progate CTO 島津さんです!
島津さんから聞いた、プログラミング教育業界のお話やプログラミング学習を続ける秘訣などお届けします。

 

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島津 真人さん

株式会社Progate CTO 

東大大学院を卒業した後、GoogleのChromeチームで Software Engineerとして5年間勤務。テックリードとして Service Worker の実装をする傍ら、STEP教育コースの講師なども行っていた。 2021年4月より Progate に入社し、Progate Pathのリードを経て 2023年4月よりCTOに就任。「いろんなアイデアを爆速で形にしつづける」をスローガンに、いい組織をつくれるよう日々試行錯誤をしている。

 

 

ーーまず初めに株式会社Progateではどのようなサービスを提供しているのか教えてください。

「プログラミングの楽しさを知る入り口になる」ことをコンセプトに、初学者が躓く環境構築などのハードルを取り除いたプログラミング学習サービス「Progate」を提供しています。こちらは現在、世界300万人以上のユーザーにご利用いただけるサービスとなりました。

それと、実務を疑似体験することでより実践的な経験を積むことができる、本気でエンジニアを目指す方に向けたプログラミング学習サービス「Progate Path」やProgate Pathで学習することで企業の求人に応募することができる新卒採用プラットフォーム「Progate Prospects(β版)」も提供しています。

プログラミング教育業界が誕生した背景

ーーありがとうございます。では、Progate CTO島津様の視点から現在のプログラミング教育業界について教えてください。

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今現在はプログラミング教育業界という業界がありますが、そもそも10年ほど前まではなかった業界です。では、なぜこの業界ができたかというと2つの側面があると思います。

  • 1つ目は「教養としてのプログラミング教育」
  • 2つ目は「エンジニアになるための教育」です。

1つ目の「教養としてのプログラミング教育」では、小中学校でプログラミング教育が必修化され、大学入試の科目にも「情報」が追加されました。そのため、この領域の学習ニーズが生まれました。

2つ目の「エンジニアになるための教育」では、エンジニアになりたい人が増えたことで生まれました。SNSの普及や、ネットでの買い物が当たり前になったりと、現在社会ではIT・テクノロジーは切っても切り離せないものになったことが影響しています。

今現在の弊社の立ち位置でいうと、この2つの側面から幅広いユーザーさんにサービスを利用していただいておりますが、当初は「エンジニアになるための教育」として、自分たちがエンジニアになるために苦労したところなどを一生懸命教えていたことからスタートしています。

 

ーーそのような背景からプログラミング教育業界が生まれたのですね。プログラミング教育サービスが普及した現在でも、独学でプログラミングを習得できる人もいますが、そもそも独学で習得できる人と習得できない人の違いはどんなところにあるのでしょうか?

「プログラミングを面白い」と思えるかどうかが一番の違いだと思います。例えば、私の場合プログラミングはレゴブロックと同じで遊びの延長でした。プログラムを書いて自分が思った通りに動いた時、とても面白いと感じたのです。それを続けていたら、いつの間にかエンジニアになっていたというのが私のパターンです。

しかし、もちろん誰でもプログラミングをはじめから面白いと感じるわけではありません。「面白い」よりも「分からない」が多くなると苦痛なので、そういう方にとっては独学ではなく、プログラミング教育のサービスを利用した方が良いかもしれません。

プログラミング教育サービスを通して、プログラミングの面白さを伝えることができたら、一部の人だけではなく、多くの人がプログラミング学習を継続でき、プログラミングによってその人の可能性を広げられると思っています。

「分からない」の前に「出来た」をたくさん積み上げて、プログラミングの面白さを伝える

ーープログラミングを面白い、と思ってもらうことが重要なのですね。面白いと思ってもらうために、Progateがやっている施策などはあるのでしょうか?

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弊社が提供している「Progate」というサービスでは、プログラムをWeb上で動かせるように作っています。ユーザーは環境構築する必要がなく、ブラウザ上でプログラムを書いてそれが動くかどうか、直ぐに確認できます。環境構築という最初のハードルを無くすことで、「分からない」の前に「出来た」をたくさん積み上げられるように設計しています。

それと、「Progate Path」というサービスでは、例えば「このSNSアプリに〇〇という機能を追加してください」という実務で扱うようなレベルの問題を出しています。
「悩みながらも自分で調べ、試行錯誤し、そしてやっと問題が解ける」という、このサイクルがとても大事だと思っており、問題には面白いと感じてもらえるようにエッセンスを入れて工夫しています。きっかけを与えて、あとは自分で楽しく勉強するサイクルに入ってもらえたら最高です。

 

ーーそのような工夫がされているのですね。ちなみに、プログラミング教育業界では、資格試験のようなその人の能力を測る基準はあるのでしょうか?

例えばTOEICや英検などの試験は、「英語」というものをたくさん分析をして、単語力や文法力、リスニング力などを組み合わせて問題を作っていますよね。しかしプログラミングの領域はまだそこまで体系化されていません。英語の世界だったら、「英検2級を持っている」と言われれば大体のレベルがわかります。しかし、プログラミング教育の世界ではまだ英語試験ほど、その人の能力を測ることができる共通の指標がないのです。

そのため、新卒でエンジニアを採用をする企業では独自で入社試験を実施し、その人のプログラミング能力を測っているところもあります。

私たちは、特に「Progate Path」のコンテンツ制作においては「実際に現場で活躍できるエンジニアを育てるために、ここまでのことは出来るようにしよう」と作戦を立ててカリキュラムを作っています。そして、「このレベルまで育ったら書類選考をスキップできる」というような流れを「Progate Prospects(β版)」というサービスを通して、求人掲載していただいている企業様と一緒に作っています。

まずは1つの言語を極め、確固とした基礎知識を入れることが重要

ーーところで、IT・テクノロジーの世界では、流行り廃りが激しい印象がありますが、技術トレンドを捉えるために意識するポイントなどはあるのでしょうか。

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流行り廃りの話でいうと、例えば「コンピューターがどう動いているか」や「プログラムが計算する仕組み」などの知識は流行り廃りではなく常識として、どんな技術が流行っても使える知識です。

一方、プログラミング言語は流行り廃りはあるものの歴史や潮流があります。「この言語は、あの言語のこういう特徴を活かして作られている」というような感じです。そのため、何か1つの言語を極めることがとても大事だと思います。そうすれば、次に別の言語を勉強したとしても、差分を意識することで効率よく学習できます。まずは1つの言語を深く勉強し、そこで確固とした基礎知識を入れるというのがいつの時代も変わらず大切だと思います。


ーーまずは、1つの言語を極めた方が良いのですね。では、最初に学習するべきプログラム言語としておすすめなどはあるのでしょうか。

例えば「自動車業界なら組み込み系の言語を学習した方がよい」というように自分が進みたい業界によって選んだ方がよいプログラミング言語というのは一応あります。

しかし、それよりも私が大事だと思っているのは、自分が勉強するモチベーションが湧くかどうかということです。言語にはそれぞれ良し悪しがあるので、「これがベスト」と言えるものは決まっていません。モバイルアプリ、Web、組み込みなど何でもよいので、一番モチベーションがあがるソフトウェアをつくれる言語を選び、楽しく学んでいく中でそれを突き詰めることができたら良いかと思います。

プログラミング学習で挫折してしまう2つの原因

ーープログラミングは学習途中で挫折してしまう人が多い印象があります。ここを乗り越える人のポイントや特徴などはあるのでしょうか?

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挫折してしまう原因は主に2つあると思います。

1つは、本業としてエンジニアになるためには、当然努力しなくてはいけません。たくさん勉強し、頑張っても必ず分からないことにぶつかります。そして、なんとか乗り越えられたと思っても、また分からないことにぶつかります。この過程を楽しめず、苦痛に思ってしまう人は挫折しやすいと思います。

それともう1つは、「自分が成長している」という実感を得づらいというのがあると思います。分からないことにぶつかっても粘り強くタックルし続ければどんどん強くなるのですが、それに気がつかず、自分はエンジニアに向いていないと諦めてしまうパターンがあると思います。

なので、私たちは、プログラミング教育サービスの中に楽しいと思ってもらえるようなエッセンスや成長を実感できる仕組みを作りたいと考えています。

 

ーーでは、プログラミング学習を続け、中堅エンジニアとなった後、どのような力をつければさらに活躍できるようになるのでしょうか?

中堅エンジニアとなれば、既に学習習慣や作りたいものを作るための基本的な経験などは持っていると思います。そこで、次に大事になってくるのは、一次情報をしっかり確認することです。例えばReactという有名なライブラリはオープンソースとして GitHub 上で開発されています。これが一次情報です。そのReactの新しいバージョンが出て、新規機能が追加されたとなれば、それがエンジニア界隈でトレンドとなって、沢山の解説記事などが生まれていきます。

また、GoogleやAppleなどでブラウザを作っている人たちは、標準化会議などのオープンなところで、ディスカッションしています。これも一次情報になります。この会議でディスカッションした内容が数ヶ月、数年後に機能として実装され、その機能に関する周辺技術が進歩してどんどん発展していったりもします。
こういった流れを考えると、一次情報をきちんと得ながらトレンドを追っていくということがとても重要です。そしてそういうことが自然とできていれば、今度は自分がそのトレンドを作っていく人になれると思います。

プログラミングの面白さを広めて、IT業界の人材不足をカバーしたい

ーー今後Progateのサービスを通して、目指している目標や理想などありますでしょうか。

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まず小さなところでは、Progateのサービスに触れたユーザーさんが「面白い!」と言ってどんどんのめりこんでほしいです。そして大きなところでは、たとえば今いる300万人のユーザーさんが今よりも5%より多く勉強するようになっただけでも、人手不足と言われているエンジニア業界においてものすごく大きな貢献になると思っています。
もしこれが実現できると、自分たちのつくったプロダクトによって世界がすこし良くできたと言えるので嬉しいですね。IT業界は人材不足と言われていますが、それを「面白い」という気持ちでカバーしていける可能性があると感じています。

 

ーー最後に、読者へのメッセージをお願いいたします。

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Progate Pathにはユーザーが自由に参加できるDiscordコミュニティがあります。参加することで、様々なエンジニアや共に学ぶ仲間と繋がり、自分の知らない世界を見つけられます。
ずっと同じ会社や環境にいると視野が狭くなってしまうので、たくさんの人と話しながら、色々な知見を得ていってもらいたいです。また、エンジニアだけではく、仕事に活かしていく上でのプログラミングの活用もあると思うので、そちらについても積極的にプロダクトの開発を行っています。一人でも多くの人がものづくりを楽しみつつ、ソフトウェアエンジニアリングの力で世の中を少しでも良くしていけると嬉しいなと思っています。

 

以上が株式会社Progate CTO 島津さんのインタビューです。
ありがとうございました!
今後のCTOインタビューもお楽しみに。 

 

(取材:伊藤秋廣(エーアイプロダクション) / 撮影:古宮こうき / 編集:TECH Street編集部)

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