【連載#1】モノづくりとビジネスに挑む人、支える人が集まる場所DMM.make AKIBAコミュニティにフォーカス

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こんにちは!TECH Street編集部です。
本日より新連載「コミュニティフォーカス」をお届けしていきます。

「コミュニティフォーカス」とは

会員が気になるコミュニティについて、
下記3軸にフォーカスするインタビューコラムです。

  ・コミュニティ
  ・コミュニティで活躍しているヒト
  ・コミュニティを運営するヒト

「コミュニティフォーカス」第1弾は、「DMM.make AKIBA」コミュニティを運営する3名にお話を伺いました。f:id:pcads_media:20200703124014j:plain.make AKIBA事業部 副事業部長 平林 愛子氏(右)、チームリーダー/コミュニティマネージャー真島 隆大氏(中央)、コミュニティマネージャー浅田 七星氏(左)

※以下インタビュー中は、取材対象者、インタビュアー、撮影スタッフ全員マスク着用でお話を伺っております。

 

―――まずは、皆さんのお役割からお聞かせください。 

平林氏:副事業部長をしております。もともとコミュニティマネージャーとして入社。会員様のコミュニティ活動をサポートしたり、今はセールス担当もしており、大手企業の事業課題を解決するという役割も担っています。

真島氏:コミュニティマネージャーのチームリーダーを担当しています。ここにいらっしゃる会員の方々とコミュニケーションを図りながら、コミュニティをよりよくするための企画を考え、実行しています。 

浅田氏:浅田と申します。今年の4月に新卒で入社しまして、2か月間のリモートワークを経て、今月からやっと出社という形になりました!新米コミュニティマネージャーとして真島の下で働いています。

 

―――ありがとうございます。早速ですが、「DMM.make AKIBA」を立ち上げた経緯からお聞かせください。

平林氏:PC1台で起業ができてしまうソフトウェアのサービスとは違って、例えばロボットを作るとか、電化製品を作りたいと考えている、モノづくり系のスタートアップ企業では、高価な設備や機材の導入がネックになっていました。

そこで弊社が自由に使える機材を用意し、さらに情報交換ができる仲間と出会える場所を設立しようと計画。

2014年に、“初期投資を言い訳にすることなく、誰もが製品を市場に出せる環境を整える”という想いの元、誕生したのがこの「DMM.make AKIBA」となります。

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▲DMM.make AKIBA 「Studio」

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2015年から、事業会社の方々がスタートアップの方々との協業を求めていたり、会員の方に対して自社製品のレビューをしてほしいといったような、様々な事業課題についてご相談いただくようになりました。

そこで弊社スタッフがヒアリングを行い、“あのスタートアップとマッチングしそうだよね”とつなげて行きながら、どんどんコミュニティが大きくなっていきました。

今では施設の運営だけでなくて、コミュニティを活性化させながら、スタートアップや事業会社が、新しいモノを世に出す等の新規事業を行う際のハブの役目を担うまでに至っています。

 

―――単純に設備を用意して使っていただくだけでなく、そこに“仲間づくり”の要素を加えたのはなぜでしょうか。 

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平林氏:ユーザーが設備を使用するだけでは、単なる“箱モノ”になってしまいますよね。私たちも当初は、機材があるフロアには『テックスタッフ』と呼ばれる技術スタッフを配置。

開発の相談や機材の使い方をヒアリングしながら、課題解決ができる場を用意していたのですが、それだけではマッチングが生まれないことに気づきました。

そこで2016年ごろにコミュニティマネージャーを配備。事業課題をヒアリングしてマッチングを加速させたり、イベント企画など進めながら、仲間と出会う場所をどんどん作って、コミュニティを活性化させていきました。

 

―――コミュニティマネージャーが中心となって様々な活動をされているということですが、具体的にはどのようなことをして、どんなマッチングが生まれているのでしょうか。 

真島氏:幅は広いです。立ち話で恋愛相談をうけることもありますし(笑)、「これから資金調達をしなければならないのだけれども、どういうVCがいいか?」とか、先ほどお話したような企業やスタートアップの方々は、ご自身で想定されていないような繋がりをつくったりもしています。

これは実際に会員の方に言われたことなのですが、「AKIBAの一つの魅力として、予定調和にない出会いがここにはありますよね」っていうのは、まさにDMM.make AKIBAの特徴を的確に言い表していると思っていますし、すごく光栄なことだなと。

元々は、ハード中心だったのですが、最近はバリュエーションも広がり、UI・UXのコンサルを行うチームや、10~20年後の世界を考えてコンサルティングをするスタートアップがいたり、そういった方々を色々な企業にお繋ぎしていくイベントも実施しています。

大手企業とスタートアップがつながって、そこから新しい事業の芽が生まれつつありますし、先輩スタートアップの背中を見せられる場でもあり、かつ大手企業にとっても参考になるような話をしていただけるような場を用意しています。

 

―――コミュニティを活性化させるには、単に多彩な会員さんが集まっているだけでは化学反応が起きにくいですものね。そういったコミュニティ活性化のアイディアはどこから生まれるのでしょうか。

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真島氏:コミュニティマネージャーだけでなく、前述のテックチームを含むAKIBAに関わる全てのメンバーを巻き込んで、“こういうことやったらいいんじゃないの”とか考えています。

全社員がある種コミュニティマネージャー的スタンスでやれているんじゃないかと思いますね。

あとは会員様からの発信もあります。“こういうのやってほしいです”みたいな建設的な要望が寄せられます。

直近であったのは、ピッチを練習する場が欲しい、それに対するレビューがほしいというご要望がありましたね。その辺は今後やっていこうかなと思っています。

 

―――コミュニティを活性化するために大切にしているポイントがあったら教えてください。

平林氏:“スタートアップと出会える”とか“事業会社と出会える”、WEB上のマッチング・プラットホームって数多くあると思うのですね。

それに対して私たちは、リアルに直接お話ができる場を用意。社長の性格だったり、“こんな会社と合いそう”という直感など、オンラインでは得られない情報を私たちが吸い上げて、いかにマッチングさせていくかに重点を置いています。

真島氏:僕は2つありまして。1つは臆さない心でどんどん話しかけていくということ。

「ほんと真島さんってコミュニケーションモンスターですよね」って言われるくらい(笑)、どんどん話しかけて、その場でマッチングしたりすることもあります。

新しい会員の方がいらしたら、「この人と合うと思うのでご紹介します」みたいなノリです。本当は人見知りなんですけどね(笑)。

もう1つはロジカルな部分で仮説思考を絶対に忘れないということです。

例えば、企業間マッチングの場合、“この会社にとって、この会社のこのアセットはこう活かせるのではないか”とまず仮説を立てます。

そのうえで双方のニーズをうまく引き出しつつ、場合によっては、ニーズが顕在化していない場合もあるので、それを僕らが仮説を立ててカバーをするという感じですね。

 

―――現在、このコミュニティの中にはどういう属性の人がいらっしゃっているのですか

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浅田氏:スタートアップの方と繋がりたいと考えている大企業、そして新たな協業を生み出したいと考える起業家・スタートアップの方々、ハードウェアを作っている方も、ソフトウェアの開発をしている方々もいます。

声帯を失った人の意思伝達を支援する咽頭デバイスを開発し、世界中から注目を集めているSyrinx(サイリンクス)さんという会社があって、彼らはどちらかというと技術系の学生さんが中心となっているので、そこに医療関係の方をマッチングすれば面白いかなと考えたのですね。

現在、医療、ヘルスケア関係のプロジェクトを集めたイベントを企画しているところです。

 

―――このコミュニティのメンバーは、どのような伝手から集まってくるのでしょうか。

真島氏:パターンはいくつかあります。ただ共通して言えるのは、ほとんどがご紹介ということ。

最近、話題になっているコミュニティマーケティングと通ずるところがあると思うのですが、人が人を呼ぶという部分は大きいですね。同時にVCの方々ともつながりをもっているので、「DMM.make. AKIBAでインキュベートできないか?」というご相談をいただく例もあります。

それで我々も支援のプログラムを再構築したり、受け皿を広くしていこうと考えています。

 

―――彼らは何を求めてここにくるのでしょうか。他のコミュニティではなく、ここが良い、ここに期待しているポイントというのは、どのようなものでしょうか。 

真島氏:そこも大きく2つあって、1つは完全にハードウェアです。

何かを始めるために、新しいモノを作りたいといったときに、アドバイスも含めて丸ごとサポートができますので、そこに期待されている会員様は多いですね。

もう1つは、純粋に場としてアクセスがいいという理由でいらっしゃる方も多い。そして、実際に来てみると、僕らみたいなコミュニティマネージャーがいて、マッチングもしてもらえるとわかる。そこに価値を感じている方の口コミで広がっているイメージです。

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▲UVプリンター

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平林氏:WEB上でマッチングが可能なオープンイノベーションプラットフォームはかなり情報量があって、登録企業も皆さんキラキラされていて、ボタンを押すと会えたりしますが私たちの魅力というのは、それとはまるっきり逆な部分にあります。

事業課題をヒアリングして、キラキラさせない情報も持っているというか、泥臭い情報や、かなりレアな情報、例えば“今、こういう事業を始めているのですが、WEBにはのせられないので、ちょっといい協業先はないですか”みたいなご相談をいただいたり、“ちょっとオフレコなんですけどご相談のっていただけませんか”という内容もあったり。かなり濃い情報をご提供できるのは弊社のメリットかと思います。

 

―――単純に情報だけでマッチングさせるのではなく、裏の情報や期待値も含めてマッチングできるわけですね。そうなるとコミュニティマネージャーの役割は幅広そうですね。 

浅田氏:例えば、会員さんと休憩がてらコーヒーを飲みながら、ちょっとお話をしている中で、「こういう人材が欲しいんだけど厳しいんだよね」とか会話の中で自然と引き出すようなことはありますね。

真島氏:細々としたことでいうと、ごみ捨てもやっています。

できるだけ皆さんが快適に過ごしていただけるように、そこはフロアスタッフと一緒になってやっていますね。

フロアスタッフが手一杯の時には、僕らが代わりにゲストパスを発行したりもしてますし、ただ受付業務をしているだけでなく、それを会話のフックとして、「今日は大手の方来るんですよ、紹介しますよ」みたいな流れを作ったりします。

とにかく会員の皆さんと接点を多く持つということが僕らの役割ですからね。

 

―――マニュアルとかない仕事ではないですか。自分の役割はどのように認識しているんですか。何か規定ラインみたいなのがあるのでしょうか。

真島氏:規定ラインはないですね。会員の方のためになれば、なんでもやればいいんじゃないかなと思っています。

僕もチームリーダーなので、自分のチームの役割を再設計する必要があると思っています。なぜならコミュニティもどんどん進化していっているので、そこに合わせた形に常に変えていかないといけない。

方針だけ決めて、その中でやれることは全部やっていくって感じですね。むしろオープンにしておいて、“それって会員の方のためになるんだっけ?”という問いに対してきちんと回答ができれば、別に何でもいいのではないかと思っています。

唯一気を付けなければいけないのが、平等性を保つということ。

何かを提供するときには、求めていない人に対して無理やり提供する必要はないですし、実は“あったら便利かもしれない”情報については積極的にお伝えをしたい。

手を挙げていないけれども、実は知らなかった、欲しかったという潜在意識も拾い上げられるように心がけています。

 

―――個人の裁量に任せるというのは、同時にマネジメント的な難しさもあるような気もしますが、その辺はいかがですか。

平林氏:そもそも新規事業なので、ここで役割を明確に決めてしまうと、縦割り社会の弊害を生みやすくなってしまうので、コミュニティマネージャーに関しては、“やれることは自分の判断でやっていこう”という方針で事業を進めています。

コワーキングスペースはたくさんあるとは思いますが、スペースだけではなく、時にはおせっかいと感じられるぐらい、世の中に新しいことを提供しようと企てているすべての人・組織を支援しますということを、かなり泥臭くやっています。

真島氏:要するに“真心をこめたおせっかい”みたいな。それってコミュニティマネージャーにとって一番大切な要素だと思いますね。

 

―――理想のコミュニティを作るうえで、もっとも重要なことって何だと思いますか。

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浅田氏:他の施設の会員だった時の気持ちも踏まえてなんですけれど、“一歩踏み出すお手伝いをすること”が大事かなと思っていて、やりたいこととか、してほしいことって、思っていても“まぁ、いっか”ってなることがあると思うんですね。

私もそうで、困っているけれど相談するほどじゃないし…みたいな。そこをコミュニティマネージャーが引き出すことで、みんなが一歩踏み出すことができる。そんなイメージですね。

真島氏:肩書に“マネージャー”という言葉がついていますが、コミュニティをマネジメントするものではないと思っています。

むしろコミュニティって自然発生する部分が多いではないですか。僕らはそのお手伝いすることがミッションなので、皆さんにはよく「僕らを使い倒してください」とお伝えしているのですね。

基本的には、みなさんがどう使いたいか?それを尊重することが重要です。コミュニティに所属していない企業の人から、「あなたはこうしなさい」とか言われるのって嫌じゃないですか。むしろ見えないところで色々な戦略というか、考えが張り巡らされているぐらいのほうが良いと思いますね。

 

―――コミュニティって会員同士の関係性の中から形成されていくのが理想で、コミュニティマネージャーの側から「こう作ろう」とか提言するものではないということですね。 

真島氏:そうですね。最初は場で、そこに同じ方向を向いた人たちが集まってコミュニティが自然発生していて、そこに少しビジネス色が追加されてきている。その流れを大切にしながら、我々が加速するというぐらいがちょうどいいかなと思います。 

平林氏:同じ課題と目的を持っている方であれば、自然にコミュニティはできていくと思っていて、我々がやらないといけないのは会員さんの目的と課題を正しくヒアリングして、コミュニティに流してあげるというか、コミュニティを作ってあげることは少なくとも大切かなと思っています。

そこで人材が不足している方がいるんだったら、私たちが「マッチングのイベントやるんですけれど、登壇しませんか」とお声がけしたりとか。そこからまた新しいコミュニティが生まれたりしますから、どんどんヒアリングしてマッチングさせていく、加速させていくお手伝いができたらというところですね。

 

―――新しい企画やイベントがどんどん生まれて、コミュニティが広がっていく感覚ですね。今後の展開をお聞かせください。

平林氏:スタートアップを支援する事業会社だったり、賛同してくださるVCもコミュニティ内に増やしていきたいと思いますし、もう少し課題を感じているスタートアップにも入ってもらいたいなと思っています。 

真島氏:ハードだけでなく、ソフトウェア系も増えていますから、それも面白い動きかなと思います。

例えばAI技術を活用した開発を始めたけれど、実はAIはレッドオーシャンなんですよね。何を解決するAIなのかを明確にしないと事業化が難しい状況にありますが、それがハードウェアと組み合わさることで活用の幅が広がる。

そういった事実に着目をしているメンバーも増えてきているので、情報をキャッチアップしながら、新しい出会いをご提供していければと思います。

 

―――最後に、「DMM.make AKIBAコミュニティ」を一言で表すならば、なんと表しますか?

平林氏:「モノづくりとビジネスに挑む人、支える人が集まる場所」ですね。

  

以上が第1回のコミュニティフォーカスです。

平林さん、真島さん、浅田さん、ご協力いただきありがとうございました。最後に、コミュニティ運営メンバーの仲の良さが伺えるショットをどうぞ!

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次回も会員が気になるコミュニティについて深堀っていきます!今後のコミュニティフォーカスもお楽しみに。

( 取材:伊藤秋廣(エーアイプロダクション) / 撮影:古宮こうき / 編集:TECH Street編集部)