登壇者はこの方

大平かづみ 氏
オルターブース所属
Microsoft MVP for Microsoft Azure/Developer Technologies
GitHub公認トレーナー
出産を経て就職後、再びGitHubの技術アドバイザリやワークショップの講師を担当。
個人では、女性エンジニアを応援するコミュニティCode PolarisやGitHub dockyardを立ち上げ運営しているほか、様々な技術コミュニティで活動している。
0歳児育児との両立を模索中。
大平:私の発表では「GitHub Copilotに関する注目情報」をピックアップしてお話しいたします。
早速GitHub Copilotの最新動向から紹介していきます!
GitHub Copilot最新動向
サブスクリプション プラン
大きな動向の1つとして、サブスクリプションプランの変更(※)があります。
なんと、昨年12月より無料プランが誕生しました!これまではCopilotを使う際には、Individualを使うために毎月10ドルの課金が必要でした。しかし新しく「Copilot Free」が出たことによって、基本機能のほとんどは無料で使えるようになりました。GitHubのアカウントがあれば使用可能です。
※現在(2025年5月)はGitHub Copilot Pro+というプランも登場しています。
Copilot Freeの利用範囲
Copilot Freeの利用範囲は下図の通りです。基本的な機能は使えます。
Copilotの二大機能は「チャット」と「コード補完」ですが、Freeプランではそれぞれ回数制限が設けられています。チャットは月に50回まで、コード補完は月に2000回までとなっています。
Code completion(コード補完)とは、エディターで書いている文字に対してリアルタイムで候補を出してくれる機能です。それが月に2000回まで無料で使えます。
それ以外の違いとしては、Copilotにはチャットで使えるLLMモデルが複数ありますが、Freeプランではその中でもOpenAI o1のみが使えません(※)
※現在(2025年5月)は新しいモデルが増えたので、詳細は以下のリンクを参照ください。
GitHub Copilot のプラン - GitHub Docs
GitHub Copilotの最新機能
Copilotの機能について、前回の登壇では下記のリストの機能がありました。
- Code completion
- Copilot Chat in IDE
- Copilot Chat in GitHub
- Knowledge bases
- Pull request summaries
- Copilot in the CLI
では1年が経ってどうなったかというと、下図のようにとても多くの機能が追加されました(※)
※現在(2025年5月)はGitHub Copilot Coding Agent(Public preview)も登場いたしました。詳細は以下のリンクを参照ください。
GitHub Copilot coding agent in public preview - GitHub Changelog
既存機能にもアップデートがありました。
Code completion(コード補完)
まずはコード補完については、サポートされるIDEが追加されました。
そして最近、モデルの選択肢が増えました!コード補完についてはGPT-3.5 Turboがデフォルトでしたが、アップデートによりGPT-4oも選択できるようになりました。精度も良くなっていると思うので、みなさんもぜひ触ってみてください。
Copilot Chat in IDE
続いてIDE上で使えるチャットについて説明します。
まず、サポートされるIDEとしてXcodeが追加されました。またこちらもモデルの選択肢が増えました(※1)が、コード補完とは違い、チャットでのデフォルトはGPT-4o(※2)となっています。
※1現在(2025年5月)は新しいモデルが増えたので、詳細は以下のリンクを参照ください。
GitHub Copilot のプラン - GitHub Docs
※2現在(2025年5月)はチャットのデフォルト モデルがGPT-4.1になりました。詳細は以下のリンクを参照ください。
そしてKnowledge baseが使えるようになりました。前回はGitHub.com上でしか使えませんでしたが、エディターでも使えるようになっています。
Copilot Chat in IDE(アップデート情報)
- Chat participants (@)(旧エージェント)が更新されている
- スラッシュ コマンド(/)が更新されている
- チャット変数(#)が導入された
- VS CodeのUIが刷新された
Copilot Chat in GitHub
続いて、Copilot Chat in GitHubについて説明します。GitHub上でもCopilotが使えるようになりました。以前はEnterpriseしか使えませんでしたが、今はFree以外でなら使えるようになりました。
モデルの選択肢も増えて、WebやIDEそれぞれで別のモデルを使うことも可能です。
コンテキストの対象も拡大し、プルリクエストやイシュー、ディスカッションなどもできます。
※上図について、イベント開催(2025年2月)当時の情報であり、現在(2025年5月)はモデルが増えております。詳細は以下のリンクを参照ください。
GitHub Copilot のプラン - GitHub Docs
Copilot Chat in Mobile
Copilot Chatがモバイルでも使えるようになりました。
以前は少しソースを眺めるくらいしかできませんでしたが、今は頻繁に更新されていて、見やすくもなりましたしCopilotが使えるようになりました。
- GitHubモバイル アプリでCopilotチャットを利用できる
- GitHub上のリソースについて、質問できる
・リポジトリ、ファイル、プルリクエスト、イシュー、ディスカッション
Content exclusion
続いてContent exclusionについて説明します。
- Copilot BusinessまたはCopilot Enterpriseライセンスで利用で
きる - EnterpriseレベルまたはOrganizationレベルで、除外したいファイルを指定する
- サポートされるIDEまたはGitHub (Web)で、Code completionやチャットで利用できる(環境によってサポート対象が異なる)
こちらはファイルを指定して、チャットやコード補完のコンテキストに含めないという指定をすることができます。例えば機密情報などを書くようなファイルがあったとして、それを除外するような設定を組織単位で行うことが可能です。個人では使えない機能ですが、待望の機能だと思います。
Copilot Edits
- IDE(現状VS Code) で利用できる
- Editモード
・選択した複数のファイルに対し、横断してプロンプトによる変更を実施する - Agentモード
・プロンプトに従い、自律的に変更対象のファイルや事項を判断して、段階的に変更を実施する
Editモード
まずEditモードでは、下画像のように選択したファイルをCopilotに渡し、それに対して何かさせたいときにEditを使います。
Agentモード
Agentモードですが、こちらはEditモードのように最初にファイルを渡す必要がありません。自律的にファイルを判断して指示通りに動いてくれます。もちろん全てを網羅してくれない可能性もありますが、どのファイルに影響範囲があるか分からないときなどでも、かなり助けてくれます。まずざっくりとAgentモードを使ってみてから、自分たちの目でじっくりと確認するという使い方もできると思います。
Content Extensions
- GitHub Copilot Chatを拡張する
- 「@」で利用する
- Marketplaceからインストールできる
- 独自のExtensionを実装できる
・パブリック、プライベートどちらも
・実装方法
・Skillsets: APIを設定するだけで、Copilotが判断して実行してくれる
・Agents: すべてを自由に実装できる
例えば下画像の「@my-github-copilot-skillset-sample」は私の自作のExtensionですが、自分で作って呼び出すこともできます。GitHub Copilotができる範囲は限られていますが、それを拡張するために自作のExtensionを噛ますことによって、例えば他のAPIを呼ばせたりすることができます。
GitHub Marketplaceには、すでにたくさんCopilot Extensionが公開されています。
どのような動きをするかはAgent次第なので、ドキュメントを確認しながら使ってください。
プライベートなAgentを作ることもできるので、例えば社内のリソースからデータを持ってくるようなAgentを作り、それをみんなで活用するということもできます。
Agentを自作する際も、まるっとすべて自由に開発する方法(Agents)もありますし、GitHubの設定画面にいくつかAPIを設定するだけで、Copilotが判断して実行してくれる方法(Skillsets)もあります。Skillsetsの方はAPIとその説明を登録するだけなので、とても簡単ですね。
Copilot Workspace
続いてCopilot Workspaceについて説明します。
GitHub Copilotは主にコード補完を行うツールで、単一ファイル内での作業に特化しています。 一方、Copilot Workspaceはプロジェクト全体の流れをサポートし、より複雑なタスク管理やプロジェクト計画に焦点を当てています。
例えばタスクとして何か指示をすると、まずCopilotはどうすべきかを考え、今の状況と解決するための提案内容を出してくれます。
Copilot text completion
text completionは、Enterpriseライセンスで利用できるもので、人間がポチポチ書いているものを補完してくれる機能です。コード補完と似たような動き方ですが、プルリクエストの概要欄で自然言語を書く時の補完に使えます。
Models
Modelsは、ほとんどの主要生成AIをGitHub上で試せる驚きの機能です。
Microsoftに限らず、さまざまな企業のものが使えます。使う言語やSDKを選択し、コードも書いてくれます。
tokenを用意すればサンプルコードを作ってくれるので、各社のAIの試作をGitHub上で作ることができます。
GitHub Copilotに特別興味がない方でも、生成AIに興味がある方はここで一通り試すことも可能なので、そのためにGitHubアカウントを作るというのも良いと思います
Copilot code review
- Copilot Free以外のライセンスで利用できる
- 2つの利用方法
・Review selection: 選択部分をCopilotにレビューさせる(VS Code)
・Review changes: IDE (VS Code) またはGitHub(Web)上のプルリクエストでCopilotにレビューさせる
Copilotにコードレビューをさせることもできます。
レビュアーの選択肢にCopilotが出るようになったので、それを選択するとCopilotがレビューしてくれるという機能が追加されました。今でもchatの一部として解説してくれることは可能ですが、そうではなくレビューをしてくれるというのは注目の機能です。
以上のように、Copilotにはたくさんのアップデートがあります。
これまでのコード補完やチャットのように想像しうる使い方から一歩踏み出し、もっとたくさんのことをCopilotに任せながら、なおかつ人間が介入したうえで作れるような仕組みを提供してくれています。まだまだ過渡期だと思うので、今のうちにいろいろと触っておいて、次に来る大きな革命に備えておくのもいいのかなと思います。
そのほかのアップデート情報
最後に、他の気になるアップデートについてお話します。
- イシューでsub-issues (Itasklists)が対応された
- イシューやプルリクエストのUIが刷新される(Public preview)
- Rulesetsの利用範囲が拡大した
- Code scanningでCopilot Autofixが一般公開された
- Security configurationsでセキュリティ設定のひな形を用意できるようになった
- GitHub Certificationsで日本語が対応された
他に気になるアップデートの参考リンク
- Evolving GitHub Issues (public preview) - GitHubChangelog
sub-issues, UI刷新 - Copilot Autofix for CodeQL code scanning alerts is now generally available - GitHub Changelog
- Code security configurations now available at the enterprise level - GitHub Changelog
- Highlight your expertise with GitHub Certifications -GitHub
GitHubの最新情報の追い方
- GitHub Blog
- GitHub Changelog
- X(IBTwitter)
GitHub (本家)
GitHub Changelog
GitHub Japan
コミュニティ GitHub dockyardコミュニティ - ドキュメントも頻繁に更新されているので、時々眺めると吉
- GitHub Docs
- github/docs リポジト
以上で、発表は終わりです。
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