【イベント主催レポート】RPAトーク:RPA導入における失敗を赤裸々に語る会~合言葉は「失敗は成功のもと!」~

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こんにちは!TECH Street編集部です。

今回は、2020年5月14日に開催されたTECH Street主催の【オンライン開催】RPAトーク:RPA導入における失敗を赤裸々に語る会~合言葉は「失敗は成功のもと!」~の様子をお届けしていきます!

テーマは《RPA》ということで、全国各地から約4,400名のRPAユーザーが集まる「RPACommunity」の創設者、チャラ電Mitz(松岡光隆)氏にファシリテートしていただきながら、イベントを開催いたしました◎当日のレポートの前に...今回のイベントの3つのポイントを紹介します!

テクストRPAトークイベント3つのポイント

①RPAコミュニティのプロ × RPA事業会社 × RPAベンダー 3つの視点でのRPAトーク
今回のイベントでは、ファシリテーターにはコミュニティプロデューサーのチャラ電Mitz氏、そして3名のRPA推進のプロによるRPAトーク。RPAに対して多角的な意見をいただきます!
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・神藤拓氏 / ウォルマート・ジャパンテクノロジーダイレクター
・アシロボ ・洞本昌明氏 / ディヴォートソリューション株式会社代表取締役社長
・吉野明氏 / パーソルキャリア株式会社RPA推進グループリードコンサルタント
・チャラ電Mitz(松岡光隆)氏 /コミュニティプロデューサー(ファシリテーター)

②失敗・懺悔トークだけで終わらせない!失敗の乗り越え方・成功のポイントをセットで語ります
RPAにおける失敗話で盛り上がる...だけでは終わりません!今回はRPA推進に携わるプロが集まり、導入がうまくいかなかったときの失敗・後悔(ときどき懺悔?)を赤裸々に語っていただくとともに、今だからこそわかる失敗の乗り越え方や導入が成功したその先に実現できたことなどを本音でトークします。

③視聴者は「わかるボタン」で参戦!
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今回のイベントでは、「わかるボタン」の初導入!「その失敗あるある〜」など共感したトークに対してチャットに「 0 」を投下してもらったのですが.... 連打が止まらない!!

実際に運営スタッフで「 0 」の数を数えてみたのですが...「00000」等の投稿があり、追いつくのに必死...(嬉しい悲鳴)。「"0"で、わっかる!はよかった!」などと素敵なコメントもいただいたわかるボタンですが、レポート内には集計した数【わかるボタン連打数:〇〇】も記載しております。どこが共感ポイントが多かったのかも合わせてご覧ください。

それでは、前置きが長くなってしまいましたが、ここからは当日のトークの様子を紹介していきます♬

参加者パネルトーク

パネラーの方々には、《Q1》RPA導入までの失敗・後悔ポイントとともに《Q2》失敗をどう乗り越えたか、《Q3》導入実現後、なにを実現できたか、の3点を語っていただきます。《Q1》については、イベント参加者にもアンケートをとってみました!アンケート結果はレポート後半で紹介いたします◎

《Q1》失敗・後悔ポイントは?

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チャラ電Mitz氏:パネラーの皆さまのRPA導入までの中で失敗・後悔ポイントは何番ですか?バーチャル背景の切り替えをお願いいたします!

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▲バーチャル背景をパネル代わりにしてみました!オンラインイベントでおすすめです♬

チャラ電Mitz氏:RPA導入までの流れに沿って①から順番にお話を聞かせていただければと思います。まずは、ベンダー視点でお客様からいただくお話などを含めて洞本さんお話しいただけますでしょうか。

(①)スタート

洞本氏:お客様のよくあるケースなのですが、「誰からRPA導入の話が上がるか」という部分です。社長からお話が出る場合の失敗例は、現場がやらされている感になってしまい、逆に現場からお話が出る場合の失敗例は、役員・社長から費用対効果を求められてしまい、そもそも“理解をされない”“言葉が通じない”状態となってしまうことがかなりあります。

今回イベントに参加されている方はRPAについての知見をもっている方々だと思いますが、日本ではまだAI・RPAの違いすらがわかられていない状態なんですよね。現場と情セキの方が一緒に取り組み、同じ温度感を持たなければその後もうまくいかない...ということが挙げられます。【わかるボタン連打数:57】

神藤氏:私のケースでもまさに洞本さんがおっしゃったとおりで、意思決定者によって意思決定はくだされたものの、自動化する業務は作業者の作業を置き換えるものなのですよね。なので、作業者がRPAがなんたるか・実現されたときにどんな未来になるのか、という部分まで落とし込まないと、ヒアリングも進まなければ開発も難航してしまうという傾向にあると思います。

チャラ電Mitz氏:なるほど。やはり関係者全員が「意識の足並みを揃えること」が大事ですし、そこが一番難しいポイントでもありますよね。最初の時点で失敗してしまうとたしかにその後半はやはり失敗してしまいますよね。

(②)業務把握

吉野氏:私の実体験に伴うお話で、②業務把握④業務課題の抽出⑧導入・構築の複合的な話をさせてください。RPA化の依頼があり要件定義を進めていたのですが...開発に入ったあとで「実はこういうパターンもあった」などドキュメントに表記していないものがでてきて何度も確認が必要となったことがあるんです。結果的に納期が守れず、スケジュールが間延びしてしまうということがありました【わかるボタン連打数:98】

洞本氏:お客様からの声を聞くと、情シス部門の認識と現場の認識の違いがあることが一番の課題だと感じています。情シスの方々は、システム開発の観点で見るものの、現場の方々はシステムをつくったことがないので要件定義後に変更できると思ってしまう、なんていう認識の違いがあるんですよね。

(③)製品選定

チャラ電Mitz氏:③については、アシロボの洞本さんから製品選定の懺悔があがるというのが面白いですね。では洞本さんよろしくお願いいたします。

洞本氏:僕たちは後発製品の為、他社の製品性能に追いつくまでに時間がかかり、リリースが6ヶ月遅れた、ということがありました...自分たちの思いとしては、現場の方に優しく、かつ情セキにも認められるものを作らなければいけないと思っています。後発組だからこそいかに安くていかに簡単な日本製をつくるという観点で作っている結果リリースが遅れてしまった、という失敗談があります。【わかるボタン連打数:12】

(④)業務課題抽出

吉野氏:④業務課題抽出における失敗談ですが、自分自身の反省についてお話します。RPAに携わった当初は、業務をしている方々であれば、自分たちの業務については全パターン把握している、と思ってしまっており、現場業務への理解度の低さに反省しました。

今では、要件定義に入らせてもらうときには、短期間ながら“業務に弟子入り”してもらうようなイメージで入り込むようにと心がけています。【わかるボタン連打数:15】

神藤氏:私の方では、業務課題抽出において、まさかの導入後に気づいた失敗があります。業務の流れを可視化したところまではよかったのですが、エラーレポートを見ていたところエラーが絶対に起こらない部分があったのです。

担当者に確認してみたところ、10年間で合計120回エラーがない部分で、「そもそも結合作業必要だったのだろうか」と、あとから気づいたことがあります。結果ガバナンスの観点では必要だったのですが、要件定義・業務の可視化する際には、BPRの観点で観ることも大事だと学びました。自動化されたあとの業務自体の効率化ももちろんですが、開発の効率化の必要性も気づくことができましたね【わかるボタン連打数:48】

(⑤)費用算出

神藤氏:⑧導入にも関わるのですが、ROIで出した数字を導入後に確認してみたら全然到達していなかった、という失敗があります。初期のPoCのうちの一つだったので修正はできたのですが、原因としては、導入のPoCで入ってもらったコンサルの方と現場の方のコミュニケーションが希薄だったという部分にありました。

導入にコンサルを使う方が多いと思いますが、大事なのは現場との橋渡しをする人間だと思っています。実はその役割は私だったので今回の懺悔として挙げさせていただいたのですが...

“開発者と現場の方は違う言語”という根本的な認識を持った上で橋渡しがとても大切だなと思います。【わかるボタン連打数:19】

(⑧)導入

吉野氏:実際の⑧導入の部分では、RPA開発における規約が最初から設定されていたわけではなかったので手探りで進めていった結果、途中からルールをいれることができなかったんですよね。「保守の属人化」などが課題となっておりこれから解決していかなければいけないと思っております。【わかるボタン連打数:10】

チャラ電Mitz氏:RPAは普通の社内システムと違って、すべての職種の方が触るものなので、レベル感の違いなどが悩みポイントだとよく聞きますね。ちなみに洞本さん、ロボット側の立場から聞くといかがでしょうか?

洞本氏:うまくいっているところは、「ロボット憲章」のようなものを先につくっているような印象がありますね!

チャラ電Mitz氏:ロボット憲章、なるほど!ちなみにここで質問をいただいており、意見を聞かせてください。「総務系の業務は、ロングテールといっても、処理量が小さく、イレギュラーも多いので、RPAは向かない。という意見がありますがどう思いますか?」洞本さん、いかがでしょうか?

洞本氏:向いてます!全自動は目指さず、最初から最後までやっていたところの一部にロボを入れるなど細切れで使う、という方が総務系の人には向いてると考えます。

吉野氏:イレギュラーは全体の数で比べるとレギュラーよりも少ないと思うのです。なので、まずはレギュラーパターン=多いものから潰していって、イレギュラーについては手で行うもしくはRPAに通知させるなどの工夫が大事なのではないかと思います。

神藤氏:ルール化できる/ルール化できないのパターンわけを最初にしてしまえばいいと思います。パターン化してしまえば、吉野さんが言うようにレギュラー部分だけ自動化し、30%だけでも効率化させる、ということができると思います。【わかるボタン連打数:30

《Q2》失敗をどう乗り越えたか教えてください 

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チャラ電Mitz氏:ここまでは失敗についてを語っていただきましたが、ここからはRPA導入の流れの中で、失敗の乗り越え方を教えて下さい。

吉野氏:すべての業務に言えることなのですが、コミュニケーションの回数を増やすことを意識しています。先程「弟子入り」という話をしましたが、それもコミュニケーションの一つで。業務担当の方と意思の疎通を正しくするようにしています。

また、RPAは後発のシステムなので、向き合うのは業務の方々だけでなくもともとの社内のシステムの担当者ともコミュニケーションをとるようにすることも意識的に行っていますね。【わかるボタン連打数:6】

神藤氏:まず、①導入をスムーズにするためにはRPAがそもそも何たるか、その利便性について人々のマインドセットを変えることが必要であり難しい。人によってRPAのイメージが違うので障壁を下げることが大切だと考えています。私の乗り越え方としては、部門内ミーティングで時間をもらい、大々的に周知を行うことでRPAで何ができるかを印象付けることをしてみました。ユーザーの声をシェアする、ロボってなに?という部分を動画を使うことで視覚的に認識してもらったところ、導入がかなりスムーズになったと感じます。【わかるボタン連打数:66】

チャラ電Mitz氏:確かにコメントでも「動画でみせるって大事だよね」という声が挙がっていますね。その場でデモを動かすと失敗するということもあるので、予め撮影した動画を見せることが大事かもしれないですね!

このあたりは、吉野さんのおっしゃるコミュニケーションの延長、でもあると思いますのでどれだけ本気で取り組むかでその後の結果が変わってくるんではないかなと思います。では、③について洞本さんお話しいただけますでしょうか。

洞本氏:③製品選定の部分では、予算に余裕があればメインロボ・サブロボを用意するのも今後の形なのかもしれないと思っています。人にもいろんなパターンがあるように、RPAロボもいろんなパターンがいてもおかしくないのでは?と思っておりそれが未来の形ではないかなと思っています。【わかるボタン連打数:4】

神藤氏:洞本さんがおっしゃるように、業務にあったツールを選ぶべきだなと感じます。対象業務の性質に加え、RPAチームやユーザの目指すべき姿によって最適なツールは変わってきますよね。

《Q3》導入実現後、なにを実現できたか教えて下さい

洞本氏:簡単にお話すると、アシロボの利用者にはメリットとして感じていただいている・実現されているのはスライドにもあるような副次的な効果が本来の価値なんですよね。

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実は、中小企業さんで、アシロボを入れている会社のアシロボ担当者が急に社長のお気に入りになる、なんてことも聞いたことがあります(笑)【わかるボタン連打数:6】

吉野氏:単純にROIが、というお話ではなく、新型コロナウイルス拡大に伴い急増したワークフロー申請をRPAで処理することによって、担当の方から感謝の言葉をいただいたことがありましたね。

あとは、社内でRPAの認知度が広がり、EUCで開発をしたいという機運も高まっているので社内でBPR、RPAなどの自動化がすすんでいくことはありがたいなと感じております。

神藤氏:RPAを導入してなにが変わったかというと、更に導入しやすくなった!という部分ですね(笑)RPA化リクエストがこちらから探しに行かなくても自発的に上がってくるようになり、マーケ活動をしなくてもネタが出てくる、という状況になったのはよかったかなと思っております。【わかるボタン連打数:25

まとめ

本音のRPAトークはいかがでしたでしょうか?イベント当日は、平日にも関わらずなんと53名の方にオンライン上で集まっていただきました(涙)参加者の方々からは「トーク形式いいですね。本音感高いです」「"0"で、わっかる!はよかった!」などなど頂くことができ大盛況のうちに終了。イベント中のリアルなコメントについてはTwitterのハッシュタグ #テクストRPA もチェックしてみてくださいね。
▼Twitterの様子
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そして、コメントでもお褒めいただいたわかるボタンですが...なんと連打数合計は396、そして各トークでもっとも連打されたのはパーソルキャリア吉野さんの失敗事例②業務把握トークの98でした! 怒涛の連打、ありがとうございました!

気になる参加者のアンケート結果

イベントで参加者の方々にもパネラーと同じ【RPA導入における失敗・後悔ポイント】のアンケートを取ってみたところ、下記のような結果となりました!実は、イベント中にとったアンケートが、こちらの手違いで確認することができず...イベント終了後に参加者の皆さまに再度お答えいただいただいたアンケート結果を共有いたします、申し訳ありません><

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イベント中に最も多くわかるボタンが連打された②の業務把握を含めて、RPA導入の初期フェーズでの失敗・後悔ポイントが多いことがわかりました。(記憶を遡ると、イベント中にとったアンケートでは④業務課題抽出が一番多かったのですが、①②も増えていました)

①〜⑧の工程だけでなくこんなところでつまずいてしまった、などのご意見がありましたらぜひTwitterなどを使って教えて下さい◎

イベント中に答えられなかった質問に対する回答

①J-SOX対策はどのようにしていましたか?
②アシロボに関して質問です。ガバナンスに関してはいがでしょうか?弊社は野良ロボ、コントロールのできないシステムを嫌っています。どのように解決できますか?

洞本氏:両方に通ずるので合わせて回答をさせてください。アシロボでは、(1)シナリオ開発申請書(2)稼働状況監査表の2種類の帳票サンプルを用意のうえ、準備ー体制ー運用まで一貫したサポートを行っております。また、新しい管理機能などもリリースする予定ですのでご興味がある方はぜひお問い合わせください。

神藤氏:①について、ロボのみで使用するユーザIDを予め内部監査チームへ連携しておくことで、自動化されている業務がログレベルで判別できる様にしております。
今では内部監査観点からマニュアルではなく自動化すべき業務の自動化リクエストなども上がってきます。

今後のイベントについて

今回はオンラインで開催したテクストRPAトークでしたが、いかがでしたでしょうか。TECH Streetでは、6月以降もオンラインでのイベントを鋭意企画中です。メルマガや公式SNSで情報を共有いたしますのでしばしお待ちいただけると嬉しいです♬

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