【イベントレポート】UXリサーチャー勉強会~各社の取り組みや課題から学ぶ会~

こんにちは、TECH Street編集部です!

この記事では、2025年6月11日(水)に開催した「UXリサーチャー勉強会」の各登壇者の発表内容の紹介と、イベント中に回答しきれなかったQ&Aを記載しています。
今回はエンジニアスキルをプライベートに全力投球した成果を発表いただきました。

 

登壇者はこちらの方々!

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神崎 将也 氏

パーソルキャリア株式会社
UXリサーチャー

2023年にパーソルキャリアに新卒入社。大学ではUXデザインを中心に学ぶ。現在は「PERSOL MIRAIZ」でUXリサーチを担当し、日々ユーザーと向き合い続けている。

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瀧本 はろか 氏

株式会社スマートバンク
UXリサーチ部 部長
UXリサーチャー

校正・校閲担当者を経て、ベンチャー企業で新規事業の立ち上げやインタビューの企画執筆を経験。その経験からUXリサーチャーに転身、人材会社の新規事業のUXリサーチやリサーチ組織立ち上げ、リサーチャー育成に携わる。2022年4月より株式会社スマートバンクに1人目のUXリサーチャーとして入社。N1インタビューの文化を受け継ぎ、年間100件を超えるインタビューを担当。メンバー全員が「Think N1」を身近に感じられるような働きや経営・事業に伴走するリサーチを推進。著作『UXリサーチの活かし方 ユーザーの声を意思決定につなげるためにできること(翔泳社)』。

 

 

「リアル×スキマ時間」を活用したUXリサーチ

 神崎 将也さんの発表内容については、以下の記事リンクからご覧ください。

www.tech-street.jp

 

チームとAIで取り組むUXリサーチ

瀧本 はろかさんの発表内容については、以下の記事リンクからご覧ください。

www.tech-street.jp

 

Q&Aコーナー

(Q)パーソルさんはサービス毎にリサーチャーがいるのですか?また、それぞれのUXリサーチチームの体制、人数を教えてほしいです

神崎:ほとんどのサービスにUXリサーチャーがいます。人数は大体1~2名程度です。

 

 

(Q)ヒアリングの際に、参加者への質問で気をつけたことや気をつけるべきことはありますか

神崎:ヒアリングの際に意識したのは「こちらの聞きたいことに対して、相手の回答を誘導しないこと」です。

オープンクエスチョンとクローズドクエスチョンも適切に使い分けました。

また、自分たちの意見を押し付けないようにも注意しました。たとえば、「こう思うのですけど、どうですか?」といった聞き方は避け、あくまで率直な声を引き出すことを大切にしました。

 

 

(Q)パーソルさん、巨大企業かと思いますが、サービス・プロダクトにはUXリサーチ部署が各々着くのか、兼務があるのか、横断組織があるのかなどなど参考までに聞いてみたいです

神崎:UXリサーチャーが職能組織として存在しています。横断している人もいれば、専属している人もいます。

 

 

(Q)その他のリサーチ案件はどのようなことを担当されているのでしょうか?

神崎:私は、PERSOL MIRAIZの専属です。最近は、大手の調査会社の方と連携して、今期の「MIRAIZ Hub」というイベント企画のコンセプト評価をアンケート調査で行いました。複数案を立てたうえで、ターゲットにどの程度響いているのか、またその理由は何か、といった点を明らかにするための調査設計を手がけました。

 

 

(Q)今回ご紹介いただいた事例の中でKPTについて教えてください。どれくらいの時間をかけて行いましたか?また、振り返りにKPTを採用した理由があれば教えてもらいたいです。

神崎:約45分かけて実施しました。参加メンバーには、ミーティングまでにKeepとProblemを記入してもらいました。まずは5〜7分ほどかけて、前回設定した「Try」の進捗確認を行い、その後、「Keep」と「Problem」それぞれに10分ずつをかけて内容を共有しました。内容の整理にあたっては、「参加者」「講師」「グループワーク」といった大枠でカテゴリ分けを行い、それぞれの項目について記入者に理由を話してもらいました。その上で「Try」に落とし込み、実施のタイミングや責任者を決めるところまで進めました。

この一連の流れで、予定していた45分をフルに使い切る形となりました。

 

 

(Q)今回の調査はすべて内製でしょうか?

神崎:はい、全て内製です。

 

 

(Q)リサーチ対象から得られた回答・データの重みづけはするのでしょうか?

神崎:状況にもよるかと思いますが、ヒアリングをしてみた結果、実際には今回想定していた対象者の条件から外れていた、というケースもあります。

そのような場合には、分析時にその方の情報を除外する、といった対応をとることもあります。

 

 

(Q)リサーチャーの業務範囲・責務は?

神崎:基本的には、調査の要件定義から、調査方法の検討、設問設計、対象者選定とリクルーティング、実査、分析、結果報告まで一通り担当することが多いです。

また、リサーチ結果から得られた考察をもとに、企画職の方と一緒に企画を検討することもあります。

 

 

(Q)インタビュー時にUXリサーチャーに求められる能力として、コミュニケーション力は必須だと思います。どのようなコミュニケーションを心がけていますでしょうか?

神崎:ぐいぐい行きすぎないこと、弟子になる気持ちで接することを心がけています。

 

 

(Q)ヒアリング対象者の選定や人数はどのような思想で設計されていますか?

神崎:調査目的に沿ったユーザーを適切にリクルーティングすることが最も重要です。

その際には、「どのような人に話を聞けば、有益な情報が得られそうか」を考えながら、対象者の条件を設定します。一般的に、条件に合った5〜7名程度のユーザーにヒアリングを行うことで、十分なデータが得られると言われており、実際にその程度の人数で実施することが多いです。

 

 

(Q)業務の洗い出しをどのようにやられているのか詳細をお伺いしたいです。複雑な業務の場合、言語化が難しいように感じております。

神崎:一度想定されるタスクを洗い出して、他のUXリサーチャーやプロジェクトメンバーにミーティングで壁打ちしたりしています。一度口に出してみると、やるべきタスクの整理や順序立てがしやすくなるのでおすすめです。

 

瀧本:自分が取り組んでいる業務ほど書き出すのは難しい。他人にインタビューしてもらって、音声録音して手順書にする方法がおすすめです!

 

 

(Q)設問設計で一番おすすめのAIツールはどれでしたか?

瀧本:NotebookLM のインパクトは大きかったです。今までは自分の記憶に頼っていたものが、発話ベースで情報を整理できるうえに、複数の資料を横断して回答が返ってくるのがとても便利です。

 

 

(Q)AIの活用は弊社も検討していますが、お話にもあったように個人情報を取り扱う可能性があることに、会社としてもかなり慎重になってしまい進めていません。ツール選定や社内交渉などUXリサーチの部門が自力で対応しているのでしょうか?それとも会社としてメインの対応部門があり、全体調整と交渉をしているのでしょうか。

瀧本:スマートバンクでは経営陣がAIに積極的な意思表明しています。情報システム部門のような情シス的な部署が中心となって旗振りをしており、「このAIツールは使用OK」「この領域では注意が必要」といったガイドラインや声かけを随時行ってくれています。

 

 

(Q)AI活用するうえで要注意な点や気を付けている点(UX観点で)を教えてください

瀧本:自分の身体感覚をもっているところから使うと良いと思います。

私が考えていることや面倒だなと思っているところからAIを活用すると役に立ったという実感を感じやすいです。

 

 

(Q)AIで質問を作る部分と、UXRという専門職で個々のスキルの棲み分けを意識的にされていることはありますでしょうか?

瀧本:アンケート調査の業務でいうと、私は同じドメインの調査を数年にわたって担当しており、その知見をもとに、たとえば選択肢のバリエーションに意図を持たせたり、特定の文脈に適した項目を設計したりといった部分は、専門職ならではのスキルが活きる領域です。

一方で、年齢の幅を10歳刻みに設定したり、47都道府県を手入力するような作業では、どうしても人的ミスが発生しがちです。そういった繰り返しの定型業務については、AIを活用することで作業の精度を高め、調査全体の質を担保できています。

最終的には、「調査の質が向上するかどうか」を判断軸にして、AIと人の役割分担を行っています。

 

 

(Q)AIを活用する際に、どういう指示をすると的確な答えを出してもらえるのでしょうか?

瀧本:まだ勉強中ではありますが、

ざっくりした指示よりも、「この資料のこの項目について」など、具体的な範囲指定をすることがポイントです。AIは文脈を広く拾いすぎてしまうことがあり、意図しない情報と混ざってしまうこともあるため、対象となる情報の範囲や焦点をしっかり絞ることが、的確な回答を得るためのコツだと思います。

 

 

(Q)人格を変えて出力はおもしろいですね。自分のキャラというかクセを消してほしいと思う時あります。どんな人格セットをすることがおおいですか?

瀧本:今取り組んでいる調査に関する「戦略的なユーザー」を設定して、その人物に対してインタビューするような使い方をしています。

 

 

(Q)タスクごとにどのようにどのAIツールを使い分けているか知りたいです

瀧本:現在は、AIツールの特性に合わせて、既存のリサーチプロセスで当てはまるところはないか検討する流れを中心としています。情報収集、整理など同じタスクを複数のAIツールやモデルに任せてみてアウトプットを確かめたりしながら、日々調整しています。

 

 

(Q)リサーチの対象者はどのように選定していますか?またどのように実施しているのでしょうか?

瀧本:既存のユーザーか、未利用のユーザーかによって分けています。未利用のユーザーの場合は外部の調査プラットフォームを活用することが多いです。インタビューにおいては、調査目的に応じて対象者を選定し、メール連絡等で日程を調整することが多いです。

 

 

(Q)この仕事をやっていて、ここがマジで困る…「つらみあるある」などをご登壇者様からお聞きしたいです

神崎:そこまで辛いと感じたことはないですが、あえて挙げるとすれば、インタビューの協力者がなかなか集まらず、ペルソナ作成に必要な資料が不足してしまうときです。

 

瀧本:複数部門のリサーチをすることがあるのですが、一番注力したい分析や戦略に時間が取りづらいことです。全体を横軸してみる立場だからこその悩みです。

 

 

(Q)UXリサーチャーとして、必要なマインドやスキルがありましたら教えていただきたいです。

神崎:「相手がどんなことを考えているのか?」「どんな人なのか?」といったことに対して、常に興味や関心を持ち続ける姿勢が大切だと感じています。

 

瀧本:リサーチでは、自分自身の「事業者としての視点」、お客様の「さらにその先にいる顧客の視点」、そして「チームメンバーの視点」など、複数の立場を意識的に切り替えることが求められます。そして何より、リサーチの基本は“観察”にあると考えています。

 

 

(Q)UXリサーチが、生成AI時代でどう変わったか、さらにこれからどう変わりそうか?みなさんに聞いてみたいです

神崎:AIを使っていて、リサーチの進め方は確実に変わってきていると思っています。

調査要件やインタビューガイドなどAIと壁打ちしながら作っています。大規模な定量調査をした後、FAQをまとめて、分析したりもしています。

これからは、優秀なパートナーとしてAIを活用していくと考えています。相手に共感しながら分析をしていくことは人間がやるところだと考えています。

 

瀧本:「将来的にはAIが人間のことを深く理解し、AI同士がインタビューするような時代が来る」と話す人もいます。私自身は、今のところは業務効率化の一環として生成AIを活用しており、たとえば資料の整理や案出しのサポートなどで助けられることが多いです。

今後は「AIが調査する前提でリサーチしていく」なんて未来もくるのかなと思っています。

 

 

(Q)経営層やプロダクト責任者に対してUXリサーチの必要性や効果を提案する際のコツなどはありますか?いつも軽視されがちなので社内のマインドを変えたいと思っています

神崎:「N=1のユーザーから得られた、ありのままの調査結果を共有すること」は、リサーチの価値を伝えるうえで有効な手段のひとつです。

実際のユーザーの声や行動をもとに、「こうした課題が存在する」と具体的に伝えることで、相手の納得感を高めることができます。

また、可能であれば、経営層やプロダクトの責任者にリサーチ現場へ足を運んでもらい、ユーザーの様子を直接見てもらうのも効果的です。

ユーザーに触れることで、リサーチの重要性や価値をより深く実感してもらえると感じています。

 

瀧本:経営層が見ている視点と、自分たちが現場で感じている視点にはギャップがあることも多いため、単にリサーチの有効性を説明するだけでは、なかなか前向きに受け取ってもらえないこともあります。

そのため、まずは「経営層が今向き合っている課題は何か?」を丁寧にヒアリングし、その大きな目標に対してUXリサーチがどのように貢献できるかを示す形で提案していくと良いと思います。自著の中でも詳しく触れています!

 

 

(Q)リサーチャーとして課題を感じたことやもっと改善できたなと感じるポイントやエピソードなどはありましたか?

神崎:調査を進める中で、依頼者が本質的に明らかにしたいことと、実際に提示される内容にズレを感じることがあります。そのため、リサーチを依頼された際は、表面的な要望にとどまらず、課題の背景や真意を丁寧に深掘りするよう心がけています。

 

瀧本:リサーチの組織と依頼をする組織が別のチームである場合、プロジェクトの概要や調査の意図については共有してもらえるものの、現場のリアルな温度感や背景までは把握しきれないことがあります。そうした際に、「チームの一員」としてより深く関わりながら、依頼者の立場に立って伴走できていれば、もっと質の高いアウトプットが出せたかもしれないと感じたこともありました。

 

 

今回の登壇レポート一覧

 

神崎 将也さんの発表内容については、以下の記事リンクからご覧ください。

www.tech-street.jp

 

瀧本 はろかさんの発表内容については、以下の記事リンクからご覧ください。

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