
※この記事は、2025年6月に開催されたイベントでの発表内容をレポートしたものです。
- スマートホームとスマートハウスの違い
- 2種類の充電器を使い分ける「2025年バージョン」
- なぜ2つの機器を使い分けるのか?
- スマートハウスの運用で使用しているアプリ
- 効率的にEVに蓄電し電気代0円を目指す1日
- 私の効率ノウハウを入れたGPTsを公開
- 今後の展望
登壇者はこの方

ななみん 氏
通信会社に勤務し、自転車シェアサービスの立ち上げ、スマートフォンの開発、Fintechサービスの立ち上げなどを経験。好きなものは、新しいガジェット、ネコ。好きな人は、アインシュタイン、ショパン。引っ越しをきっかけに自宅のスマートハウス化に挑戦中。
ななみん:スライドに写っているのは、私が所有する電気自動車(EV)「ヒョンデ・IONIQ5(アイオニックファイブ)」です。この車が、公式動画で「電池」として紹介されているように、今日は私がこのEVを”家庭用の蓄電池”として最大限に活用している方法についてお話しします。
私は通信会社で新規事業の企画・開発に携わってきました。これまで自転車シェアサービスやFinTechサービス、スマートフォンの開発など、さまざまなプロジェクトに携わっています。
プライベートでは、IoTガジェットを使いこなしたり、作ったりするのが趣味です。2017年に広い一戸建てに引っ越したのをきっかけに、IoT機器を導入した「スマートホーム」を構築しました。さらに2022年に千葉へ移住した際には、太陽光パネルや蓄電池としてのEVを導入した本格的な「スマートハウス」を構築し、現在もその効率化に取り組んでいます。
スマートホームとスマートハウスの違い
「スマートホーム」と「スマートハウス」は混同されがちですが、一般的に以下のように区別されています。
- スマートホーム: AlexaのようなIoT機器を使い、利便性、快適性、安全性を高めた住宅。
- スマートハウス: 太陽光発電や蓄電池、エネルギー制御システムを装備し、創エネ・省エネ・蓄エネを実現する住宅。
私が2022年に構築したスマートハウスは、家庭用としては最大級の10.64kWの太陽光パネルを設置しました。発電した電力を蓄える手段として、家庭用蓄電池の代わりに、より大容量でコストパフォーマンスに優れたEVを活用することにしました。
私のEV(IONIQ5)は72.6kWhという大容量バッテリーを搭載しており、これは一般的な家庭の約4~5日分の消費電力量に相当します。このバッテリーを蓄電池として使うため、「V2H(Vehicle to Home)」という、車と家をつなぐ専用機器を導入しました。これにより、太陽光パネルで発電した電気をEVに貯めたり、夜間にEVから家へ電気を供給したりすることで、電気代0円生活を実現しました。

2種類の充電器を使い分ける「2025年バージョン」
2022年にスマートハウスが完成し、満足していたのですが、運用するうちにさらなる効率化の余地があることに気づきました。そこで、2025年版では、従来のV2Hに加えて、スペインのWallbox社製EV充電器「Pulsar Plus」を新たに導入し、2種類の機器を使い分けることにしました。

なぜ2つの機器を使い分けるのか?
元々導入していたV2Hは、車への「充電」と、車からの「放電」の両方が可能です。しかし、充放電時に約1.5kWの電力ロスが発生することが分かりました。約1.5kWというのは、一般の一戸建ての消費電力を超える量であり、無視できる程度ではありません。
そこで、この電力ロスを抑えるために、以下の使い分けを考えました。
- 充電: 電力ロスが少ないEV充電器「Pulsar Plus」を使う
- 放電: 放電が可能な「V2H」を使う
しかし、この理想的な使い分けを実現するのは簡単ではありませんでした。太陽光の発電量は常に変動し、電力会社の単価も時間帯によって変わります。これらの要素を考慮して、いつ充電・放電を切り替えるかを手動で判断する必要があり、複数のスマホアプリを使い分けて毎日運用するのは非常に手間がかかる作業でした。
スマートハウスの運用で使用しているアプリ

どのようなアプリを使用しているかといいますと、まず、制御に使うものが、右側の2つのアプリで、ニチコン製のV2Hを制御するEVPSアプリと、Wallbox製のPulsar Plusを制御するWallboxアプリです。それに加えて、電気自動車のバッテリー残量も監視したいため、ヒョンデの「BlueLink」アプリも併用し、さらに自宅の電力全体のマネジメントに「Nature」アプリを常に確認しながら運用している状況です。(忙しい・・・)
効率的にEVに蓄電し電気代0円を目指す1日

最終的に私が実践している、効率的にEVへ蓄電し電気代0円を実現するための1日の運用フローが上図です。これを私は毎日手動で行っています。(自宅警備員も忙しい・・!笑)
フローを順に説明しますと、まず日中(図の1と6)は、太陽光の発電量が3kW以上あれば、電力ロスの少ないPulsar Plusをオンにして充電します。
次に、15時以降(図の2)になると、EVのバッテリー残量が95%以上あれば、V2Hによる放電に切り替えます。そして18時(図の3)の時点でバッテリー残量が85%以上あれば、そのまま放電モードを継続します。18時を過ぎると太陽光発電はほぼゼロになるため、その後は特に操作はせず、朝まで過ごします。
明け方の3時(図の4)に、バッテリー残量が55%以上あれば、夜間に家で使う電気を賄うために放電モードをオンにします。そして朝6時(図の5)に、その時点でのバッテリー残量が45%以上で、かつその日の天気が晴れ予報であれば、外出に備えてV2Hでの放電を継続します。そうでなければV2Hはオフにします。
そして朝9時(図の6)には、現在の季節ですと発電量が5〜6kWに達していることが多いので、発電量が3kW以上あれば再びPulsar Plusでの充電を開始します。この一連の作業を毎日繰り返しています。
この運用にはいくつかの前提条件があります。例えば、電気自動車のバッテリーは、0%から100%までを頻繁に充放電すると劣化が進む可能性があるため、私は劣化を抑える目的で約30%から95%の範囲で運用するようにしています。また、私が契約している電力プランは昼間の料金が安いため、電力料金が高いピークタイム(16時〜21時)には電力会社から電気を買わず、EVからの放電で賄うようにしています。
これを見て、1日にやることが多いと感じる方もいらっしゃるでしょう。そこで、この一連の作業を誰でも簡単にできるように、私のノウハウを詰め込んだGPTsを作成しました!
私の効率ノウハウを入れたGPTsを公開
複雑な手動運用を誰でも簡単にできるように、私のノウハウを詰め込んだGPTsを作成しました。このGPTsの使い方はシンプルです。

使い方としては、まず前提条件として、ご自身の太陽光パネルの出力(kW)、電気自動車のバッテリー容量(kWh)、V2HやEV充電器の有無といった情報を入力します。
次に、現在時刻、現在の太陽光出力(kW)、EVのバッテリー残量(SoC%)といった現時点での状況を入力します。
そうすると、今何をすべきか、最もお得な行動を提案してくれるようになっています。


- 前提条件の入力: 太陽光パネルの容量、EVのバッテリー容量、利用機器などの情報を入力します。
- 現在の状況の入力: 現在時刻、太陽光の発電量、EVのバッテリー残量などを入力します。
すると、GPTが「今、何をすべきか」を最適な行動として提案してくれます。
たとえば、「現在は13時、発電量は8kW、バッテリー残量は65%、今日は晴れのち雨です」と入力すると、「EV充電器で充電してください」といった指示と共に、「あと何時間でどのくらいの電力が使えるか」といった根拠データも示してくれます。さらに、「16時〜17時頃に天候と発電状況を再確認し、V2Hに切り替えて放電する可能性も視野に」といった、次の行動のタイミングまで教えてくれるため、誰でも最適な判断がしやすくなります。
以上をまとめます。私は今回、太陽光パネル、蓄電池(EV)、HEMSを組み合わせたスマートハウスを構築し、V2HとEV充電器を併用することで蓄エネの効率化に取り組みました。この複雑な手動制御の判断を誰でも可能にするためにGPTsを作成しました。
今後の展望
今後は、GPTsをさらに改良し、現在設定している閾値(「発電量4kW以上」など)を、ユーザーごとの環境に合わせて自動で調整できるようにしたいと考えています。
このGPTsの開発では、ネット上にほとんど情報のない「電力ロス」の概念などをGPTに学習させるのに苦労しましたが、日々「調教」を続けています。
システムを構成し、最適化していくプロセスはとても楽しいものです。興味がある方は、スマートハウスの構築にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
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