【技術Tips】技術系会社員が自宅で実践!太陽光パネル+電気自動車で電力の自給自足を目指す「スマートハウス」の効率化の軌跡

はじめに

先日、パーソルキャリアさんが主催する”エンジニアの自由研究発表会vol.10 〜業務外でエンジニアスキルを活かしてみた!〜”というイベントで、タイトルの通り登壇させていただきました。この記事では、登壇では語りきれなかったところまで詳細にお話したいと思います。

スマートハウスの定義

この記事では「スマートハウス」を、”創エネ、蓄エネ、省エネが可能で、電力利用を最適化した住宅”と定義します。具体的には、太陽光パネルで発電した電力を、蓄電池(もしくは電気自動車)に蓄電しつつ、HEMSを使って効率良く電力を使用する住宅となります。

構築したスマートハウスのシステムと、暮らす上で感じた課題

私は、2022年に一戸建ての住宅をリフォームしたタイミングで、自宅を完全にスマートハウス化しました。システム構成としては以下となります。

一般家庭としては大容量の10kW(システム容量9.5kW)の太陽光パネルを搭載し、また、一般的な家庭用蓄電池と比較するとはるかに大容量の電気自動車IONIQ5(アイオニック5、バッテリー容量72.6kWh)を導入し、発電量も蓄電量も多いスマートハウスが完成したため、かなり満足していました。

 

ですが、日々運用していく上で、気になる課題がありました。それは蓄電効率です。

 

電気自動車を蓄電池として使う(電気自動車から自宅に送電する)ためには”V2H”という機器が必要なのですが、このV2Hを通じて充放電をすると、気温や状況にもよりますが、1〜2kWほどの電力ロスが生じるのです。
その理由として主なものとは、この電気自動車が800V仕様のバッテリー電圧であり、400V仕様のV2Hを用いて充放電する際に変圧に電力を消費する点、バッテリー保護のためバッテリーの温度管理に電力を消費する点などがあります。いずれにしても、電気自動車を蓄電池として大事に使用するためには必要な電力であり、そもそも一消費者には改善しようがない部分です。

 

電気自動車から自宅への放電をする際にはV2Hを使うしかないですが、充電時(自宅から電気自動車への充電)には、V2Hではなく一般的なEV充電器でもできると思い、EV充電器としてWallbox社のPulsar Plusを追加で導入しました。

Pulsar Plus導入後のシステム構成は以下となります。

 

V2HとEV充電器Pulsar Plusの違いと併用方針

V2HとPlusar Plusの違いをまとめました。

V2Hは、Vehicle to Homeという名称が示す通り、クルマのバッテリーから自宅に放電できるという機能を持っています。我が家で導入したのは、ニチコン社のEVパワーステーションプレミアムPlusです。
そのV2Hの同じケーブルを使って自宅からクルマに充電することも可能ですが、出力が最大6kWまでとなります(EV充電の業界では、6kWの充電は普通充電と比較して”倍速充電”と呼ばれます)。

 

上記で説明した通りV2Hを使って充電した場合は電力ロスが生じますし、10kWの太陽光パネルを搭載している我が家の最大発電電力は、日中9kWを越えます。そのため、”充電”をする際には、電力ロスが比較的少なく、最大出力が8kWであるPulsar Plusを優先で使いたいのです。

 


まとめると、簡単そうにみえますが、以下を実現できれば良いわけです。

  • 電気自動車から自宅へ「放電」する際はV2Hを利用

  • 自宅から電気自動車へ「充電」する際はPulsar Plusを利用

 

IONIQ5には急速充電用と普通充電用の2つの充電口があり、

  • 急速充電用(DC、CHAdeMO)の充電口にはV2H

  • 普通充電用(AC、200V)の充電口にはPulsar Plus

この通りケーブルをそれぞれ挿しておき、アプリ操作でV2HとPulsar Plusの利用を切り替えます。

 

一見簡単そうにみえる操作ですが、充放電の理想的な切り替えタイミングは、電力単価の変動、バッテリー残量や数時間後の発電電力(予測値)、外出有無などによって変わることから、一律のタイマー設定だけだと意図しない挙動となる日もでてきます。タイマー設定だけに頼らず、その都度状況に応じて判断し、手動で切り替えをする必要があります。

スマートハウスの運用で利用するアプリ

エネルギーマネジメントで利用しているアプリの一部をご紹介します。
まず、我が家ではNature 社のNature Remo EというHEMSを愛用しており、Natureアプリでは、自宅の電力のトータルの可視化と記録を行っています。

 

次に、クルマメーカのHyundaiが提供するBluelinkアプリでは、クルマのバッテリー残量のリアルタイムでの把握が可能です。V2Hのメーカであるニチコンが提供するEVPSアプリ、Pulsar PlusのメーカであるWallboxが提供するWallboxアプリでは、それぞれの機器の充放電の制御やタイマー管理を行います。

 

1日の流れを可視化してみた

さて、我が家で使っているガジェットやアプリをご紹介したところで、毎日私がどのように考え、充放電を切り替えているのか、1日の流れに沿ってお伝えしましょう。

 

前提条件は以下となります。

  • 電気自動車IONIQ5のバッテリー容量は72.6kWhで、SoC(バッテリーの残量)は、30%<SoC<95%の範囲内で運用することを努力目標とする。バッテリーの劣化の原因である過充電・過放電を避けるためと、急な外出や停電などに備える目的である。

  • 買電単価が時間帯によって変動する、まちエネの「昼ワッ得プラン」を採用。デイタイム(9:00~15:00):23.15円/kWh、ピークタイム(16:00~21:00):43.32円/kWh、ベースタイム(それ以外):36.43円/kWh

  • 使用する充放電機器は、Pulsar Plus(図内では”Pulsar”と表記)、V2H(ニチコン社EVパワーステーションプレミアムPlus)の2種類

1.    3時〜6時

この時間帯は、天気や季節によらず、太陽光パネルの発電電力<自宅の消費電力となる。
3時時点でクルマのバッテリー残量が55%以上あれば、V2Hの放電を開始し、自宅の消費電力をクルマから供給する。クルマのバッテリー残量が55%未満であれば何もしない(買電したまま)。

2.    6時〜9時

この時間帯は、日の出から数時間経過し、晴れていれば太陽光の発電電力が自宅の消費電力を越え始める頃である。クルマのバッテリー残量が45%以上あり、その日の天候が晴れであればV2Hを放電モードでONにする。
そうすることで、

  • 太陽光の発電電力>自宅の消費電力 の場合→発電電力を自宅で消費し、余った余剰電力をクルマに充電
  • 太陽光の発電電力<自宅の消費電力 の場合→発電電力を使用するとともにクルマからも電力を供給し、買電はしない

を実現する。

3~4. 9時〜15時

9時以降15時までは日がのぼっており、発電のゴールデンタイムである。太陽光の発電電力が3kW以上あれば、Pulsar PlusをONにして、クルマへの充電を開始する。
曇りや雨で発電出力が3kW未満の場合は何もせず、電力会社から買電して暮らす。

また、この時間帯は「昼ワッ得プラン」では買電単価が23.15円/kWhと比較的安く、多少の買電は許容できると考えて運用を行う。当日あるいは次の日に長距離のドライブ予定がある場合は、走る距離に応じて目標SoCを設定し、9時〜15時に充電が完了するようPulsar Plusの出力アンペア数を調整し、充電を行う。

5. 15時〜18時

特に16時〜21時は買電単価が高くなるため、「買電して電気自動車に充電する」ことがないよう、確実にPulsar Plusをオフにしておく。
15時時点で、太陽光の発電出力が4kW以上あるか、電気自動車のバッテリー残量が95%ある場合、V2Hを放電モードにする。
前者の場合は、日が沈むまで余剰電力を電気自動車に充電するため。後者の場合は、どのような天候であっても、次の日の朝日が昇るまで放電を継続しても電力が足りる(電気自動車のSoCが30%を下回ることはない)ためである。

6. 18時〜21時

18時時点で電気自動車のバッテリー残量が85%以上ある場合、V2Hを放電モードにする。
その後任意のタイミングで、平均の消費電力を2.7kW(自宅の消費電力1.2kW+V2Hの電力ロス1.5kW)とし、次の日の朝6時頃までの消費電力量が、電気自動車のバッテリーの使用可能電力量を下回れば、V2Hを放電モードにする。

7. 21時〜3時

この時間帯は、特にアクションは必要なし。電力マネジメントのことは忘れて十分に睡眠を取る。

GPTsにしてみた

1日の取り組み内容はいかがでしょうか。

私のように、毎日太陽光の発電電力や消費電力をモニタリングしている人であれば、季節や天気に応じてだいたいの発電量や消費電力が予測できるので、その時々で何をすべきかをすぐに判断できますが、スマートハウスの初心者にとってはかなり難易度が高いのではないでしょうか・・・。
ということで、誰もがすぐに合理的な判断が出来るようにするため、GPTsを作成しました。

 

 

入力内容

  • 前提条件:太陽光パネル出力(kW)、電気自動車バッテリー容量(kWh)、V2H・EV充電器ありなし、契約している電力プラン
  • 現在:太陽光出力(kW)、EVのSoC(%)(※必要に応じて、今日明日の天気、外出予定)

出力結果

このように、その時々でやるべきことを教えてくれます。

 

ユーザー

こんにちは

GPTs

こんにちは!
「電気代ほぼ0円生活」を一緒に目指しましょう 😊

まず、以下の前提条件を教えてください:

1. 太陽光パネルの出力(例:5.5kW など)  
2. EVのバッテリー容量(例:60kWh など)  
3. V2HやEV充電器はお持ちですか?両方ある場合はそれも教えてください  
4. 現在の電力プラン名  
 → わからなければ、「昼間安い・夜間安い・一日中同じ」のどれかでOKです。


そして、現在の状況もお願いします:


5. 現在の時刻(例:午後3時など)  
6. 現在の太陽光発電出力(例:3.2kWなど)  
7. EVのバッテリー残量(SoC)(例:55%など)  
8. 今日の天気(例:晴れ・曇り・雨など)  
 ※現在が夜なら、明日の天気予報もお願いします!


これらをもとに、今日これからどう充放電するのが一番お得かを定量的に提案します!

 

ユーザー

10kW、72.6kWh、両方あり、昼間安い

GPTs

ありがとうございます!以下の前提条件を確認しました:


✅ 太陽光パネル出力:10kW  
✅ EVバッテリー容量:72.6kWh  
✅ V2HとEV充電器:両方あり  
✅ 電力プラン:昼間が安い


次に、現在の状況を教えてください:


1. 現在の時刻(例:午前8時、午後4時など)  
2. 太陽光の現在の発電出力(例:5.8kWなど)  
3. EVのバッテリー残量(SoC)(例:55%など)  
4. 今日の天気(晴れ・曇り・雨など)  
 ※夜であれば、明日の天気予報も教えてください。


この情報が揃えば、「今どうするのがベストか(EVを充電 or 放電 or 待機)」を数値根拠つきでご提案します!

 

 

ユーザー

現在は13時。現在8kW、SoCは65%、今日は晴れのち雨

GPTs

ありがとうございます!現時点の条件を整理します:

🔸現在の時刻:13時(昼)  
🔸太陽光発電出力:8kW  
🔸EVのSoC:65%(= 約47.2kWh 残量)  
🔸天気:晴れのち雨(午後~夕方にかけて曇り・雨になる見込み)  
🔸電力プラン:昼間が安い(夜間は割高)


✅ 現在の最適な行動:  
→ EVをEV充電器で充電する(できれば今の太陽光余剰電力の範囲内で)


🔍 根拠(定量的分析)


☀ 太陽光の発電と消費  
- 発電量:8kW  
- 家庭の消費(仮定):平均1.5~2.5kW  
- 余剰電力 ≒ 5.5〜6.5kW程度(=EV充電に使える)


🔋 EVの充電可能量  
- 現在SoC:65%(≒ 47.2kWh)  
- 上限95%まで充電可能 → 95%-65% = 30%(≒ 21.8kWh)  
- このままいけば、余剰電力だけで3~4時間ほどで充電可能


🔌 充電手段の比較


| 方式 | 利点 | 損失(ロス) |
|------|------|--------------|
| EV充電器 | 高効率・電力ロス少 | 約0.1kWh程度/h |
| V2H充電 | ロス大きい | 1.5kWh/h の損失(☠️非推奨) |

→ 今は EV充電器 を使うのがベストです。


⚠️ 注意点  
- 午後~夕方にかけて曇ってきて発電量が下がると予想されるため、今のうちに充電しておくのが得策。  
- SoCが95%を超えないように注意(バッテリー劣化の抑制)


🔄 次のアクションタイミング  
- 16時〜17時頃の天気と発電状況を再確認 → 発電低下+家の消費増ならV2Hで放電する可能性も視野に。


必要なら、自動制御プランの設計(時間帯別の充放電スケジュール)もできますよ!どうしますか?

 

GPTsに言われた通りに日々動けば、太陽光パネルで発電した電力の効率的な蓄電ができ、買電電力量が減るため、電気料金の削減が可能です。また、5月〜9月の時期は、売電による収入も大きく見込めますから、トータルで黒字が実現できます。

まとめと今後の展望

本記事では、創エネとしての太陽光パネル、蓄エネとしての蓄電池(EV)、省エネとしてのHEMSを導入してスマートハウスを構築したのち、”蓄エネ”部分をEV充電器とV2Hを併用することで効率化し、スマートハウス全体の電力効率を向上させた経験をお伝えしました。また、その時々の合理的なアクションを誰もが実施できるよう、GPTsを作成しました。
今後は更にGPTsを改良し、極力マジックナンバーを排除し、様々な環境で利用できるよう一般化できればと考えています。

 

 

記事執筆者
*

ななみん 

通信会社に勤務。自転車シェアサービス立ち上げ、スマートフォンの開発管理(Samsung・SONY)、FinTechサービス(ポイント投資サービス、THEO+ docomo)の立ち上げ、越境日本酒販売サービスの企画開発を担当。入社から一貫して新規事業の企画・開発に取り組む。
2017年から副業を開始し、大学からの受託業務(ハードウェアのプロトタイプ製作等)、スタートアップ企業のWebマーケティング(SEO・Google広告・SNS運用等)等を実施。
趣味は、IoTを使ったおうちハック、一戸建て自宅のスマートハウス化。太陽光発電システム・V2H・電気自動車を導入し「電力の自給自足」を実現し、電力やエネルギーマネジメントに関しても知見を有する。https://note.com/nanamin_kedama
https://www.instagram.com/nanamiryu/

 

 

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