こんにちは!TECH Street編集部です!
2024年2月15日(木)に開催した、 「Web3エンジニア勉強会~最新動向・IPFSからみるWeb3~」のイベントレポートをお届けします。今回は、Web3に関する最新動向だけでなく、分散型ストレージ、および他の分散型プロジェクトで幅広く活用されているIPFS(InterPlanetary File System)を起点としたWeb3技術についての解説など内容盛りだくさんのセミナーとなりました。その様子をお届けします!
登壇者はこちらの方々!
阿部 一也(あべんべん)/フィンテック養成コミュニティ 共同主催者
Masa ‘Senshi’ Kikuchi/Secured Finance AG Founder & CEO
松田祐征/株式会社オプテージ
早速、内容を紹介いたします!
最初は、阿部(あべんべん)さんの発表です。
Web3概略:手早く把握
阿部(あべんべん): 早速ですが、本日お伝えしたいことは、以下の2点です。
- 思想の多様性を受け入れる
- 個人の選択と方向性
本日のアジェンダ
- 技術的な視点から見たWeb3
- ビジネスの視点からみたWeb3
- 開発における乖離ポイント
- まとめ
技術的な視点から見たWeb3
まずは技術的な視点から見たWeb3について紹介します。
以下のサイトから「ブロックチェーン開発ステップ」がわかりますのでご確認ください。
エンジニアの初心者向けのお薦め本
インフラや言語、ツール、テーマなどいろいろなWeb3がありますが、その中でも「目を付けた方が良いもの」や「これは時代遅れかも」といったものが以下のリンクにそれぞれ載っていますのでご確認ください。
Solidity開発環境の一番人気は「Hardhat」ということも分かります。
こういったものを比較しながら、次に流行りそうなものに目を付けてリサーチをすると、開発も便利になるのではないでしょうか。
Trusted Web
Trusted Webとは、「Webで流通される情報やデータの信頼性を保証する仕組み」に関する概念のことです。Trusted Webが目指すTrustの仕組みは、特定のプラットフォーム事業者やサービスに過度に依存しないことにあります。
例えば、海外の学生の成績を、日本で採用する際の参考にしたいとき、成績に関しての情報を会社側は一切見ずに、秘密計算やWeb3を利用して、その学生の評価ができるようになります。
ビジネスの視点から見たWeb3
次にビジネスの視点から見たWeb3について紹介します。
ブロックチェーンの種類(抜粋)
ビットコインは価格も上がっていて盛り上がってきていますが、ビットコインをスケールするためには日本人の技術者が少ないというのが現状だと思います。
パブリックブロックチェーンの中のイーサリアムのレイヤー2については、特にいろんなものが活発に動いている状況です。パブリックではないエンタープライズのブロックチェーンもいろんな種類があり、それらも平行して動いている状況ですね。
Web3 Stack
Web3 Stackについては、以下のリンクからご確認ください。
https://www.coinbase.com/blog/a-simple-guide-to-the-web3-stack
Web3の注目トピック(抜粋)
個人的に注目しているWeb3のトピックを8つ紹介します。
・Lightning Network
Bitcoin ETFの影響で、ますますスケーリングに課題が出るためLightning Networkが注目されると思います。
・RWA
海外のRWAではDeFiが注目されていますが、日本ではDeFi以外も注目されています。大阪万博などとも紐付けて欲しいと思います。
・DeSci
研究の資金調達の透明化と査読者のインセンティブにも繋がるため興味深いと感じます。
・ReFi
一般の企業でも取り組んでいるSDGs・ESGがWeb3側でも当然進んでいます。
・DAO法
年内に施行されると思っています。(以下のセクションで深堀して説明します)
・ウォレット競争/DID・VC
スーパーアプリ化やWeb3の課題となるUX体験でますます注目されています。マスアダプション向けの本格的な対策が進んでいます。(以下のセクションで深堀して説明します)
・プライバシーソリューション
日本が世界に先駆けて進めているTrusted Webなども関連して国内ではますます注目されてると思います。
・セキュリティトークン・ステーブルコイン
Progmatは世界でも注目されてるのでステーブルコイン、セキュリティトークンの流れは必然であると思います。
DAO(自律分散型組織)
DAOとは、簡単に言うと「ビジョンに共感したもの同士で集まって、自律的に意思決定して組織を運営しましょう」というイメージです。(下図参照)
その法制度を整えようということで、自民党などが協力し、「合同会社型DAO」というものを作り、年内に施行される予定になっています。これが上手くいけば、Web3の発展にも繋がると考えています。
スーパーアプリ競争からの動線
Web3単体だと、例えば、MetaMaskなどはUXがあまり良くありません。しかし、日本には、PayPayや楽天などいろいろな経済圏があり、その下にはキャリアがあります。それらキャリアインフラを上手く利用すれば、フレクションレスなUX体験を取り入れやすくなると思っており、この導線からWeb3へ繋がっていく可能性は高いと思います。
そして、今後はいろいろなウォレットが発展していき、ウォレット競争が起きると考えています。この辺りは重要なポイントなので、注目していきたいです。
Web3も最新技術と融合していく
Web3も最新技術と融合していくので、みなさんの知見と組み合わせて「新しい仕掛けをつくり」や「Web3だからできる」というものを考えていけたらいいですね。
開発の視点での乖離ポイント
最後に開発視点での乖離ポイントについて紹介します。
ポイントとしては以下の3点です。
- 開発アーキテクチャが1.5倍規模になる
- トークンの発行、コード監査のスケジュールを開発工程に取り込むこと
- 分散側で管理する情報を、中央型に二重持ちしないこと
Web2とWeb3アーキテクチャの違い
フロントは同じですが、バックエンドのところからブロックチェーンの技術を使用したり、ストレージのところはIPFSなどを使用します。しかしこれだけで作れるものはかなり少なく、実際にはミックスしたものになる印象です。完全なWeb3を作るのは、凄い人たちでしか作れないというのが現状です。
Web3のセキュリティ
Web3にも、Web2と同様に様々なセキュリティスタックがあります。
分散型ストレージ
分散型ストレージは複数のノードにデータを保存し、単一障害点を排除して安全性・アクセス性を向上させる方法です。
まとめ
思想の多様性を受け入れる
私たちの技術社会には、1つの正解だけではなく、多様な文化や思想が存在します。Web2とWeb3は、それぞれ異なる技術的思想を代表しており、この多様性は私たちの進化の一部です。1つの思想が全てに適しているわけではなく、存在する様々なアプローチを認識し、受け入れることが重要です。
個人の選択と方向性
あなたには、1つの体と有限の時間があります。Web3の技術は、中央集権から分散型のアプローチへとシフトし、データの所有権や透明性に新たな視点を提供します。しかし、これはWeb2の延長線上にあるわけではなく、根本的に異なる思想に基づいています。今日の話を通じて、どちらの技術的思想に価値を見出すか、自身にとってどちらが適しているかを考えてみてください。
阿部(あべんべん)さん、ありがとうございました!
続いては、Masaさんの発表です。
IPFSからみるWeb3
Masa:私はIPFSのファンでもあり、そしてIPFS・Filecoinのエコシステムの中に入り、「Secured Finace」というプロジェクトを、Founder兼CEOという立場でやっています。そのような感じでがっつりとWeb3プロジェクトに携わっています。
この発表では、皆さんにとって、「IPFSという入り口をきっかけに、Web3というものが少し理解できるようになる」そんなお手伝いができたらと思います。
IPFS・P2P分散型技術・Web3/Cryptoとの関わり
これまでの関わりを以下にまとめました。
Web3とは何かを翻訳
2019年に、Juan Benet氏のプレゼン「Web3とは何か」を翻訳しました。
Juan Benet氏はIPFSやFilecoinを作った人で、そんな彼が「Web3とは何か」というプレゼンをしてくれました。(このプレゼンには、私も感銘しました)
現在は、Web2とWeb3の境目にグラデーションがあり、複雑化していますが、「そもそもピュアなWeb3は何を目指しているのか」という原点を考えるときにとても参考になります。
IPFSワークショップを企画・開催
IPFSのワークショップを企画・開催しました。Steven Allen氏というIPFSについて何でも知っている人や先ほど紹介したJuan Benet氏など、豪華メンバーが来て、プレゼンをしてくれました。これらを取り仕切ったことで、少しずつ信用を獲得していき、海外のWeb3の中の1つのエコシステムの潮流に入り込むことができたと思っています。
日本初!IPFS Workshop Tokyo - connpass
ハッカソンに参加
2020年にハッカソンに参加して、そこで今やっているDeFiの「Secured Finace」の内容を提案し、それが評価されて受賞することができました。
IPFSの誕生背景とブロックチェーンとの関連性
IPFSの誕生背景
Juan Benet氏はそもそも自分で通信プロトコルを0から作ろうとしたわけではなく、インターネットを使っていて問題を発見したのがきっかけでした。それは、もの凄い再生回数のYouTube動画があり、サーバーに負荷がかかっているのをみて、「同じデータが世の中を何度も行き来しているのは無駄だな」と思ったそうです。
そこでJuan Benet氏は「何でもすべて中央集権的にやるのではなく、もっと効率的にできるはずだ」と考えました。そこでアドレス指定ではなく、「コンテンツのハッシュをアドレスとして使う方がよいのでは」という考えから、IPFSは誕生しました。
分散型のアプリケーション
Secured Financeでは、たとえ大統領が「サーバーを落としなさい」と指示を出したとしてもシャットダウンすることができないアプリケーションが動いています。それは、凄いことだと感じていて、ブロックチェーンとの相性の良さはあると感じています。
しかし、IPFS自体はブロックチェーンやトークンではありません。経済的なインセンティブとは切り離された純粋なプロトコルレイヤーとして機能しているので、そういう意味でも広く使いやすく、みなさんに受け入れられていると思います。
IPFSの基本原理
IPFSとは何か、その動作原理の説明を以下のリンクの資料でしておりますのでご確認ください。
- How IPFS Works (Tokyo) by Steven Allen
- Intro to IPFS by Senshi
- Presentation Video “How IPFS Works” by Steven Allen
分散ハッシュテーブル(DHT)
DHTの基本的なアイデアは、ファイルの検索を効率化するために、ネットワーク全体で1つの巨大なハッシュテーブルを構築し、それをネットワーク全体で維持するという点です。
- Kademlia DHT
- Coral DSHT
- S/Kademlia DHT
IPFSとWeb3エコシステムの重要性
IPFSがWeb3エコシステムにおいてどのような役割を果たしているのか。
その一例として、IPFSから誕生したlibp2pはEthereum2.0からdevp2pの代わりに使われるようになり、ブロックチェーンノード間の通信プロトコルとして極めて重要な役割を果たしています。
Web3業界の発展とエンジニアのキャリアパス
Web3とはいえ、結局は人との繋がりが重要です。人との繋がりで可能性や仕事が増えています。私の場合、ワークショップや海外で行われているハッカソンなどにどんどん参加し、最初の糸口やきっかけを作り、人と仲良くなり、それから道が開けていきました。
なので、まずはそのようなボランティアベースで貢献することから始めると、チャンスやキャリアパスが見えてくるかもしれません。
最後に、質問や雑談などありましたらご連絡ください。
ありがとうございました!
Masaさん、ありがとうございました!
続いては、松田さんの発表です。
Web3エンジニア進化論
松田:本日の発表では
- Web3に触れて1年ちょっとのエンジニアの体験談
- エンジニアはどういう面持ちで向き合えばいいのかという、Web3の歩き方
を私なりの体験談を踏まえてお伝えしたいと思います。
Web3取り組み内容
2022年、社内の有志の集まりからスタートし、それまで弊社においてWeb3に関しての知見は全くなかったため、ドメイン知識の習得からはじめました。当初は個人的に勉強をするという感じでした。
そして半年後、Web3アプリを制作し社内イベントで発表をしたらウケが良く、上層部の人から、700〜800万円ほどするValidatorに「会社のお金を使ってよい」と許可を出していただきました。そして、数名の部下を集めて運用を始めたのです。
今ではありがたいことに、いくつかの会社さんとビジネスPoCをさせていただいています。
上図の赤枠の取り組み内容について深掘りします。
P2P伝搬技術の調査
「P2Pの伝播はどうなっているのか」「どうすればもっと良くなるのかといった研究」や「技術開発がどのように行われていったのか」などの文献を振り返りました。
では、「なぜ伝播技術が大事なのか」を改めて振り返ると、それはVISAやPayPalなどの中央集権型と比べて、分散型のビットコインなどは、取引できる処理数が圧倒的に異なるからだとわかりました。
その処理数を引き上げようとすると、「ブロックサイズを上げる」か「ブロックの生成間隔を短くするか」しかありません。しかしそれには弊害があります。
その弊害とは、いわゆる「ブロックチェーンのトリレンマ」といわれているものです。つまり「スケーラビリティ」「リスク分散化」「セキュリティ」が両立しないという考え方です。
このように「それはなぜなのか」といったところをまずは体系的に理解し、1つ1つ紐解きました。このような取り組みは重要だと感じます。
ノードオペレーション
実際にEthereumノードを構築し、Validatorを運用しました。このように、初めは必ず実機を使うことを推奨しています。
例えば、dockerなどを使えば、いい感じのコンポーズファイルが用意されていて、少し手を加えるだけで動いてしまいます。しかしそれでは、自らブラックボックスを作ってしまっていると思い、やはり最初は自分から手を動かして、「経験知」を得ることが大事だと思います。
また、以下のようなWeb3特有の様々な検討障壁にぶち当たることで自己成長にも繋がりました。
- 秘密鍵はどうやって生成するのが安全か
- 安全にオフライン保管するべきものがたくさんある(ニーモニック、ウォレットパスワード、パスフレーズetc)
- クライアントソフトウェアの組み合わせをどうするか
そして実際に触れば触れるほど、いろいろな謎が雪だるま式に出てきます。
下図のグラフはValidatorが稼いだ日銭のグラフですが、ここにあるパラメーターの数値がどのようにして算出されているのかすら、当初は、なかなか分かりませんでした。もちろん英語の文献もいくつかありますが、それを見ながら計算してもなかなか合いませんでした。そこで、最後は「ソースコードとにらめっこをしながら、検算をして数式を確認する」といったことをして、初めてブロックチェーンの挙動を理解することができました。
進めるたびに謎が深まりましたが、振り返ればとても良い経験だったと思います。
実際にノードをビジネスユースで動かそうと考えると下図のようになると思います。
Web3アプリの開発
Web3.js(とGPT)を活用して、独自トークンを扱うアプリ「まなびっとコイン」を自作しました。
背景として、弊社では、就業時間内に自己啓発をしても良いという社内制度ができたのですが、その名前が「まなびっと」というもので、これを聞いたときに、「ビットコイン」をもじったアプリが作れるのではないか、と思ったのがきっかけです。(笑)
動きとしては、Slackにどのような学び(自己啓発)をしたのかを書き込むと、ボットがそれをAIに投げて、AIが採点をします。そしてその結果、採点に応じた「まなびっとコイン」が与えられる、というアプリです。
下図は実際の動作画面です。投稿者がボットをメンションします。そして、ここに「まなびっとコインアドレス」というものを一緒につけて送ると、最終的にまなびっとコインを付与してくれます。
裏側では、Event発行コントラクトとERC-20トークンコントラクトで構成されています。
ここまで、「P2P伝搬技術の調査」「ノードオペレーション」「Web3アプリ」について話してきましたが、なぜこの3つを紹介したかというと、それは「ネットワーク」「サーバ」「アプリ」と、それぞれのエンジニアリングに対応しているからです。
ここから紐づいて必要になった技術スタックやドメイン知識は下図に書かれている通りです。(実際に私がここ1年で理解したものです。)
最低限でもこれだけの知識を理解しなければ、おそらくイーサリアムを正しく理解できないと思います。これを教えてくれる人は誰もいませんし、本もあまりありません。だからこそ、「なぜその技術があるのか」を振り返ることがとても重要だと思います。
例えば、ビットコインもいきなり生まれたわけではありません。「2009年に発表されたSatoshiの論文でも何をいっているのか」それをきちんと理解することがエンジニアとして必要なのではないかと思います。
エンジニアはWeb3というモヤモヤしたテーマをどう捉えるべきか?
- 「Web3エンジニア」という言葉にすごく違和感を感じませんか?
- 「Web3」に特別で明確な技術領域があるように思わせるが、、、
(そもそも「Web2エンジニア」とかって呼んでました?)
上記の2点について、共感する方もいらっしゃるかもしれません。
私が実際に触ってみた実感として、技術はいつだって既存技術からの延長線で成り立っており、境界線はないと思いました。また、言うまでもなくアプリ領域に閉じたスキルでもないと考えています。
まとめ
- ブロックチェーンは最新の暗号手法やアイデアが実験的に次々と投入される領域でもあり、頻繁に改廃がなされます。常に最新情報を追いかけなければ追随できません。
- しかもこれらに関する、まとまったドキュメントはほとんどありません。英語圏の情報を追跡し、かつソースコードを自ら読み解きながら自己検証し、自己進化していけるエンジニアが絶対的に求められます。
- 逆説的に言うなら、Web3エンジニアはそれがすでに自然と身についている人材のことを指していると言えると思います。
ぜひ皆さんも理想とするWeb3エンジニアを目指してください!
最後に、リファラル採用をやってますので、興味ある方はご確認ください。
松田さん、ありがとうございました!
続いては、Q&Aのコーナーです。
Q&Aコーナー
(Q)国内のユーザがNFTにまつわるエコシステムを自然と受け入れていくためには、現時点でどのような課題があると思われますか?
阿部(あべんべん):離脱をなくす動線の作りがとても難しいです。ウォレットのところなど、いかに離脱しないかを作っていく必要がある。ひとつひとつが重要になっていくと思います。
Masa:Web2とWeb3のシームレスな体験が設計できるといいかなとおもいます。
松田:UIが成熟していないため、現状ユーザ側にエコシステムに関する高度な知識が必要。UIが洗練されエコシステムという言葉を使わない世界になれば受け入れられると思います。(哲学)
(Q)フィンテック界隈と別の界隈とでWeb3の進み方の圧倒的な違いはありますでしょうか?
阿部(あべんべん):フィンテック界隈だからといって、Web3がそこまで進んでいるわけではないです。フィンテック界隈でも、興味のない会社はたくさんあります。
Masa:トークンインセンティブによる投資家の動きは早いなと思います。トークンは上場までの道のりが短いので、スタートアップのスピード感が段違いで、ついていくのが大変だなと思ってます
(Q)IPFSは削除ができない(=いつ削除されるかわからない)という認識があります。分散型ストレージで削除が保証される(即時では無くてもよい)ものはありますか?
Masa:削除を保証したいのであれば、完全分散型だと難しいかもしれません。一度公開されると、永続的に残る可能性が高いというコンセプトがあります。ガーベジコレクションのプロセスで、削除されちゃうこともあります。削除したい可能性があるなら、中央集権型が良いと思います。
(Q)IPFSは、ファイルコインをつかわなければならず、もっと、つかわずにいい方法あるか。
Masa:IPFS自体はファイルコインを使わずに無料で使うことができますので、是非お試しください。デスクトップアプリもあります。
(Q)数年前の知識で止まっているので申し訳ないのですが、IPFSの信頼性(データ消える)という課題を記憶しております。現状での信頼性や課題について最新状況のお話をお聞かせいただけますでしょうか。
Masa:自分でノードたてて自分でもピンしておく。最悪、なくなっても自分でピン留めしておくことで無くなる心配もないし、意外と動きもよくなります。
(Q)いまのWeb3界隈に必要なのは「戦士」以外にどんな職業でしょうか?ドラクエでいう「勇者」に頼るのは違うかなと思うので、FF3の職業に当てはめてお聞きしてみたい(むちゃぶり)
Masa:武闘家上りの賢者とか、遊び人上りの賢者とかそういう、総合格闘技のような
(Q)sensiの意味はそういうことだったんですねw
Masa:はい、オニオン剣士から影響を受けてます!
(Q)IPFSとDAOの2つを人に説明する解説するときにいつも「IPFSは技術、DAOは仕組みであり、ある意味思想」とザツな回答しているのですが、良い説明の仕方があれば教えていただきたいです
Masa:IPFSは通信プロトコルの一種で(TCP/IPとかHTTPみたいな)、DAOはコミュニティなど人の集まりを一括りにしてエンティティとして扱おうとするときのまとまりの呼び方、とかですかね、、
(Q)海外の勉強会やセミナーはどこがお薦めですか? (オンラインで参加できるもの)
Masa:ETHGlobalがやっているイベントとその前後で開かれる各プロジェクトのワークショップ、あとはA16Zなどが出しているレポートなどを読むとよいです!
(Q)先進的な取り組みを推してくれる上司さんがいたからこそというお話は羨ましい。この辺りの取り組みをされているのは新規事業開発的な専門部署があるのでしょうか?それとも横串的な組織なのでしょうか?
松田:新規事業開発を担当する専門部署が企画全般を主導しており、我々技術部隊はエンジニアとしての観点から知見を与える役割でジョインしていました。興味を持つ人をどんどん増やしていく活動も並行して行ってきました。JTCでも今後はこういったエンジニアの活躍の幅は増えていくと思います。
(Q)ご登壇いただくみなさんにお聞きしたいのですが、Web3に関連してこの先注目になりそうだと思うワードを技術視点とビジネス視点でお聞きしたいです。
阿部(あべんべん):スーパーアプリ側からくるWeb3が気になっています!
Masa:アカウントアブストラクション、UI/UX、機関投資家のDeFi参入、DePIN (Decentralized Physical Infrasctucture)、オラクル、zk-KYC/AML
松田:「CASE」といわれる自動車の革命が気になっています。今後ロボットの方が人間より数が増える世の中になるといわれている。そのときにブロックチェーンとの相性が良いと考えています。
(Q)本日の発表資料は公開されますでしょうか?
Masa:https://docs.google.com/presentation/d/1jmCUkzb_MjYfF-sZaglSniO-_bV7mjTeuDfWcLCfcn0/edit?usp=sharing
松田:https://www.docswell.com/s/mahiro/ZNR6LW-2024-02-20-160845
(Q)これからエンジニアを目指したい立場なのですが、Web3関連に興味があります。エンジニア未経験の場合は、どこから開始すべきでしょう?まだ技術がないため初歩すぎる質問ですみません。
Masa:x(Twitter)をフォロー、Web3/Cryptoイベントへ参加、ワークショップへ参加、好きなプロジェクトを決める、大きなエコシステムを決めてどのように物事が進んでいるか把握、キーパーソンと同じ問題意識を共有、ハッカソンに参加、開発に貢献、ドキュメントの手伝い、グラント獲得、スタートアップアクセラレーターに応募など。
松田:常に一次情報をしっかりと把握・理解することが肝要だと思います。私はSatoshi Nakamotoのビットコインホワイトペーパーを読むことから始めました。
そしてビットコインをある程度理解していれば、イーサリアムにもスムーズに入っていくことが出来ます。まずはこの2つのネットワークを理解することができれば、後は応用が利くのではないかなと思います。
(Q)ウォレットのUX問題。。。。ユーザーとしてもやきもきするときがあります。 公衆Wi-Fiを使用してウォレットから資産が抜き取られるなどのネガティブnewsもふくめイメージを変えていきたいですね。
Masa:金額に応じて使い分けられたり、ガスを自分で負担しなくてもよくなったり、Emailのスパムフィルタが改善したような技術的な改善を期待したいです。
松田:「秘密鍵を個人が適正に管理できること」は実は非常に高いリテラシーの要求であることが意外に忘れられがちですよね。基本的にWeb3アプリは、秘密鍵を一般人が遍くミスなく運用できる世界観を前提に置いていますが、おそらく開発者サイドはその前提認識を変える必要があると思います。
(Q)DAO、掲げることは高尚だと思うのですが実際に進んでない現状が残念感だったのですが、DAO法で実際に変わりそうでしょうか?懸念点と希望がありそうな点があればお聞きしたいです。
Masa:日本の法人がDAOに進出しようとする際に既存の枠組みを利用して法人格を得られる(銀行口座がつくれてFiat<>トークンがやりやすくなる)、国内の(non-web3)一般企業と取引が可能になる、トークンによるガバナンスや資金調達が可能になることで、株式に頼らない起業が普及すればよいとはおもいます。一方、海外のオフショアを活用したDAOは主な流れとして続くと思いますので、DAOで実現しようとする世界の規模感(海外投資家からの出資までは不要な地方限定DAOみたいなケースなど)によって使い分けるのかなと思います。
(Q)Web3話題とは趣旨が異なりますが、通信系のエンジニアからエンジニアのマネジメント職に移ったのは、いま思えば正解(成功?)でしたか??というのと、マネジメントと合わせてブロックチェーン技術の推進は大変じゃないですか??
松田:メタなご質問、誠にありがとうございます(笑)
あくまで個人的な主観ですが、エンジニアを究める道の方がそりゃ自己実現という意味では遥かに有意義であったろうと思いますね(笑)。マネジメント職で技術力を高めるためにはプライベートを削る覚悟が必要です。一方でチームとして多くの部下が最先端の技術を習得しパフォーマンスを発揮してくれるようになれば、それはそれでとても有意義なことであり、正解は一つではなかったと感じます。
とりわけブロックチェーンの推進には以下の障壁があると考えます。①手本となる資料・文献が極端に少ないこと、②OSS・コミュニティ主導のプロダクトであること、③とにかく英語が必修科目であること。これら3つの特徴が他の分野とは大きく異なる点であり、こういった空気感が生理的に合うか合わないかはエンジニアにとって重要な指標になるかもしれません。
(Q)エンジニア実績なし状態だとするとWeb3取り組みは厳しいでしょうか?エンジニアを目指して少し前に初めてIoT関連のチャレンジ始めた(ラズパイ買って)のでお聞きしてみました。
Masa:Discordコミュニティ運営や、マーケティングや、記事執筆など、結構Web3はやることが膨大にあります!
松田:Web3と言っても幅広くて、プレゼンでお話ししたようにNW,サーバ,アプリそれぞれの領域で非常にdeepなエンジニアリングがなされており、それらが協調して動作しています。誰しもがフルスタックになる必要は必ずしもなく(それは組織として有していれば良い話ですので。)、もっと言うとエンジニアに限らず得意領域を見つけていくのがいいのではないでしょうか。実際に私もビジネス・営業センスは欠片もありませんので、そこはスッパリと割り切っております。
(Q)「Web3エンジニア」に違和感、スーパー同意です
松田:ありがとうございます!
どこかで読んだのですが、Web3という言葉を人々が使わなくなった時がWeb3が人々に受け入れられた時だと書かれていました。首がもげるほど頷きました。
いかがでしたでしょうか、レポートの内容は以上です。
次回のイベントレポートもお楽しみに♪