【イベントレポート】Tableauエンジニア勉強会

こんにちは!TECH Street編集部です!

 

今回は2022年6月9日(木)に開催した、 「Tableauエンジニア勉強会」のイベントレポートをお届けします。今回はTableauの中の人をお招きし、Tableau概要とおさえておきたい最新トピックス、アップデート情報についての勉強会となりました。Tableau社内における活用事例もご紹介しています!

登壇者は、Tableau, a Salesforce Company
コーポレート営業本部 第一営業部 部長の杉井 健人さんです!
前半と後半に分けてTableauについて教えていただきました。
早速、内容をご紹介させていただきます!

 

 

Tableauについての紹介

2016年1月に入社して7年、Tableauを扱って色々なお客様を支援してきました。本日は、ユーザーとして使ってみた体験を含めてお伝えします。

まずTableauという会社の紹介となります。Salesforceに買収されてグループ入りした後も、ミッションは変わらず”We help people see and understand data”を掲げ、全ての人が全てのデータを見て理解するのをお手伝いする、を理念としている会社です。データの見える化や可視化、データ分析の領域で10年連続BI業界のリーダーに選出されています。

選ばれ続ける理由として以下の3つが挙げられます。

①直感的でパワフルな、使いやすい分析機能
⇒痒い所に手が届いて使いやすい、というのが市場での優位性のポイントです

②統合プラットフォーム
⇒可視化だけでなく、データにまつわる様々な作業が一つのプラットフォームで完結することが可能です。

③唯一無二のコミュニティ文化
⇒何かわからないことがあった時、検索すればすぐにヒットするオンラインのコミュニティはTableauの差別化要素の一つです。

 

長くユーザーに愛されているTableauですが、雇用市場での需要も伸びているというデータがこちらです。

色々な求人媒体のデータをテキストマイニングして、どういうワードが伸びているか、という分析です。どの調査でもTableauがランクインしています。

データを扱えることが必須スキルになっているのと同時に「Tableauを使って組織にインパクトを出してくれる」ということを求めている企業が多いですね。

 

また、今どんなワードがホットかということを2014年から2019年を比較できるIndeedのサイトがこちらです。

そこにTableau周辺の情報を入れてみました。以下は、緑がTableauのデータ、紫がSalesforceのデータです。BI業界の中で、Tableau及びSalesforceは他と違うレベルで大きく伸びていることがわかります。

では、これだけTableauが求められてるのはどのような背景があるのでしょうか?

それを探る為、データドリブン企業(データに基づいて意思決定が出来る企業)についての調査結果をピックアップしました。

データドリブン企業の中で、コロナ禍でも他社と比べて優位なポジションにいられたと答えた会社は80%。データに基づいて意思決定が出来る会社は、危機的状況にも強い事が窺えます。

また、そういった会社はデータに優位性を感じており、データのスキルやトレーニングに対して投資を惜しみません。データドリブンではない会社は、むしろデータに対して投資を削減していくということを言っているので、この差はどんどん広がっていくと思われます。

しかしながら、全社規模でデータドリブンを展開できている、と答えている会社は100%の中で僅か8%。このギャップをどう埋めていくか、というところで、エンジニアで無くても使えるTableauが注目されているのです。

実際、データを上手く使えていないという会社では何が起きているのでしょうか。

「上手く行っていない」を一般化した時、大体以下のパターンに収まります。

①データはあるけれど、データから気付きが得られていない。

②データから気付きは得られているが、意思決定に至っていない。

③意思決定がされていても、行動ができていない。

折角お金をかけてデータを整備しても、そこから価値が得られていない。もしくは、データから価値が得られているけれども活用できている人が限られている。このような課題を抱える会社が多いです。

それに対して、Tableauは三つの方向からアプローチを仕掛けています。

Tableauデモンストレーション

続いてTableauを使ったことがない人向けにデモンストレーションを行っていただきました!

下記画像では、Tableauオンラインで売上レポートを作成しており、売上推移や利益などが表示されています。ジャンルやカテゴリをクリックするとフィルターをかけることが可能です。

赤字が続いている商品を見つけたら、問題がどこで起きているのか深掘りしていきます。

最近強化している機能で、Ask Data(データに聞く)というものが便利です。例えば都道府県ごと、製品カテゴリごとの利益を出すと、赤字が発生している場所を地図上に表示できます。地域別に差を見て、さらに製品別に絞ると関東・中部地方で赤字が出ている、ということがわかります。

また、そもそもどういう軸で区切ればいいかわからない場合、Tableauが説明してくれる機能があります。ボタンをクリックするだけで、「売上は他より高いのに、利益は低い」というように、明るくハイライトされた部分に対して説明してくれます。

このパターンでは、製品「テーブル」の製品コンテナについて問題がありそうです。

選んだテーブルが青い棒グラフで、それ以外の平均がグレーです。普通は小型ボックスで運んでいるけれど、テーブルは特大ボックスで運んでいます。特大ボックスでは平均的に利益が低い、ということまでわかります。

これは、最近ではオーグメンティッドアナロティクス(拡張分析)といわれる領域だそうです。基本的には人が分析するのを機械がサポートする、という形。Tableauの機能は、厳密に言うとAIではなく統計的に特徴量が多い所を出してくる、というものですが、深掘りしがいがある場所を探すサポートをしてくれます。赤字の理由や状況がすぐにわかり、共有も簡単です。

 

サンプルはExcelで1万件程度のデータでしたが、色々なデータに繋ぐことができるそうです。外部のBigQueryにログイン、プロジェクト、データを設定すると画像のようなカラムでデータを取ってきて、すぐに分析の準備は完了します。

1億3700万ものレコードを分析していますが、サクサクと動きます。

会議中にその場で求められるレポートを作成する、ということが簡単に出来てしまうそうです。

Tableau最新アップデート情報

続いて製品に関しての最新のアップデート情報も教えていただきました。

最近強化しているポイントは4つです。

①アクセレレーター

⇒最近はテンプレートが豊富にそろっています。データを入れ替えるだけで使えるため、クイックに始めやすく導入しやすいです。

②Einstein Discovery

⇒Einsteinをダッシュボードに組み込んで、Tableau ワークフロー内で予測と推奨を提供し、よりスマートに意思決定を行えるよう支援します。

③データマネジメント

⇒分析をする手前の整理されていないデータを綺麗にするプロセスが強化されています。

④Salesforce関連の連携

⇒Salesforceユーザーの方には嬉しい連携が次々増えています。


前半パートQ&Aコーナー

ここまでご紹介いただいた内容に関して一旦Q&Aを挟み、メンバーからの質問に回答いただきました↓

(Q)自分がVizを作ると、どうしても棒グラフや折れ線グラフが主になってしまい、センスが壊滅的にないのですが、コレを使うとセンス良く見えるよ!というテクニックはありますか?

線グラフと棒グラフ、相関散布図の3つを使うのがベストです!基本的には線グラフで推移、棒グラフで比較、散布図で相関関係を見るというのが良いということが学術的にも言われています。

1つポイントがあるとしたら、やはりグラフの配色に意味づけを持たせると良いでしょう。

 

(Q)トライアル期間、もうちょっと長いと嬉しいな!

基本は2週間ですが、ぜひ担当者に相談してみてください。

 

(Q)最近BIツールの勢いがあると思いますが、グローバルと日本とで活用の差はどの程度あるのでしょうか。

アメリカはレベルの違いがあると感じています。桁違いにユーザー数がいて、Tableau conference でもTableauを導入して良かったという話ではなく、導入した後の活用事例が話されるようになっています。また、Tableauにはユーザーライセンスが3種類ありますがその比率も違います。日本ではまだまだ閲覧だけのVIEWERユーザーが多く、アメリカではCREATORやEXPLORERユーザー比率が日本よりも圧倒的に多いです。

 

(Q)弊社ではまだBI導入していないのですが、Tableauとその他ツールMotionBoardやPower BI等との圧倒的な違い、これにはこれが合う、というのがあればお聞きしてみたいです。

Tableau が一番使いやすいなぁと思っています。管理者じゃない人がみることを想定した作りになっており、現場が編集・使用するのに一番使いやすいという自信があります。

 

(Q)イントネーションはタブロー↑ タブロー↓どちらが正しいのでしょうか。

元々はフランス語です。正解はないと思います。

社内で「タブる」とかを流行らそうとしましたが、流行らなかったですね…。

 

(Q)データ量によると思うのですが、抽出にめちゃめちゃ時間がかかる時があります・・・ グングン動くコツがあれば教えていただきたいです。

多少致し方ない部分はありますが、スケジュールを組んで夜間に抽出してみる、そして抽出した後にデータをサマリーするなど工夫をしてみてください。

 

 

 

Tableau on Tableau

後半は、ストーリー仕立てでTableau社内における活用事例をご紹介いただきました!

下記画像は、お客様から良く聞く営業組織での事例の一つだそうです。営業のマネジメントがいて営業企画の部署があり、現場とIT担当がいるという、よくある構成かと思います。

例えば、営業統括が参照したいデータを営業企画に頼むとします。すると営業企画はIT部門にデータを吐き出してもらうように頼み、一週間後くらいにCSVで送られてきたものをExcelで加工して皆に配る、というのがよくあるパターンです。

……しかし、思っていたデータとちょっと違う、とかこれでは深掘りできない、ということが起こりがちです。

これをTableauの環境にした場合、基本的には全てのデータがTableauで閲覧可能となります。

営業部門の階層によって、必要なデータソースのテンプレートが用意されているので、レポーティング作成工数もありません。

下記が、定型レポートの例です。各階層における活動データを可視化しています。

定型レポートの一例で、オープンパイプラインで商談状況の管理をしています。親会社のSalesforceとTableauの営業が一緒に商談する場合に、各商談のヘルスチェックをしたり商談状況を管理できます。

KPIを一元管理。売上進捗や活動進捗を出しています。タスク管理も可能です。

今までは決められたKPI管理をしていれば数字がついてくる時代でしたが、これからは常に変化を見極めて軸を変えていく、というのが求められる世の中になっていきます。

例えば、極端に言えば「何軒客先を訪問したか」というKPI管理に意味が無くなってくるという時代。同じKPI管理をしていると陳腐化してくるなかで、本当にデータからビジネス成果を生み出せているのか?という視点が必要です。

重要なのは「気付きを得た時にそのデータを取り、そのデータを組織全体に共有する」というアクションを取っていくこと。実際に多くの会社がここに課題があり、それはTableau Japanも同じでした。

この3つの壁をどう乗り越えたのか。

モチベーションがあっても何をやればいいのかの知識がないと上手く行かないので、まず型を見せる、というところから始めると良いのではないかと思います。「データのご利益を感じる体験」が重要ですね。

型を見て、その気付きをチーム内でディスカッション。これは面白い、と思ったら自分で使ってみる。「データのご利益」を感じれば楽しくなってくるので、その後定着させるためにビジネスサイクルに組み込んでいく、という流れです。

 

型を見せる実例としてお見せいただいたのが、下記のデータ。

左側が既存のお客様からのライセンス追加の売上、右側が新規のお客様からのライセンス導入の売上です。濃い青が大規模、薄青が中規模、グレーが小規模案件となっています。

2016年くらいから、既存のお客様からのライセンス追加が成長領域となっていることがわかります。

ではどのお客様に注力するべきか、という判断をするためにもう一つデータを作ります。

 

一例ですが、右に行けば行くほど従業員数が多いお客様で、縦軸がその会社内でのユーザーシェアです。従業員数が100名未満のところで全社導入が多い、とか、従業員数300名以上のところだと全社導入が少ない、ということを把握できます。

このデータを用いて、ポテンシャルが大きい所には経験豊富な営業担当を付けるなど、営業担当分けにも活用できます。

下記のデータでは、縦軸のお客様がいつライセンスを買ったのか。そして横軸が、初回購入から何か月後に2回目の購入に至ったか、というものです。ライセンス導入してから半年以内で、ライセンス追加してくれるお客様が多い。逆にそれ以降の追加は少なく、半年以内に再度営業かけることが重要だとわかります。

ここから、3、4か月前にライセンス導入したお客様をクリックすると、Salesforceのページに飛んでそのお客様と会話できるアタックリストを作りました。

 

さらに営業担当ごとのデータも比較。

A君は既存のお客様からの売上と新規が同じくらい。C君は既存からの全社導入が取れているので全体的な売上としては一番大きい。B君は最初苦しんでいたのが、Cくんの成功体験を学んで後半伸びてくる。そこでC君に対して褒めたり、A君に対してまだ伸びしろがあるよね、という話をすることでコミュニケーションに繋げることができます。

番外編として、管理画面をTableauオンラインで可視化してお客様とのコミュニケーションに繋げたり、社内で浸透しているナレッジポータルのログイン率を可視化して学習進捗に活かす等の取り組みをご覧いただきます。

ビジネスサイクルへの実装の為に、毎日自然にデータが見えるような仕組みも用意しています。

Tableauには所謂週報があり、メンバーがマネージャーに対して週次で報告しています。その際に予め決めたKPI、もしくは自分で設定した独自のKPIを用いて、自分自身の言語としてデータを使うことを徹底しているそうです。

営業部門でTableauを導入することにより、以下の効果が見込めます。

現場のスピード感にあった分析ができること、現場の肌感覚に合った分析ができることによって、戦略変更においてもスピードアップできる。それがTableauの強みですね。

 

後半パートQ&Aコーナー

 

(Q)未だにTableauのスペルが難しいw 確かに、センスの良い見せ方も知りたい。社内向けと社外向けで効果的な技とか。

基本的には同じかなと。使う色はなるべく少なく。はじめて見る人がわかるフィルターをかける、不要な文字を減らすなどが小技かなと。

 

(Q)最初に言っていたジェダイ?とは?資格ですか?気になります。

いまは権利上の問題でジェダイという言葉は使わなくなっています。最近、日本では「

Tableau DATA Saber」という名前でやっています。半公式の認定制度で、DATA Saberが次のDATA Saberを認定するといった制度があります。ぜひ挑戦してみてください。

 

(Q)シェアからすると大企業だけではなく中小企業でも活用されているということですよね。企業規模で使い方や使い勝手の差は出ますでしょうか?

中小でも活用されています。大体4000〜5000社くらいユーザーがいて、3000社くらいが中小企業な感覚です。10名、100名程度の会社さんもいらっしゃいます。社内のルールが厳しいと色々制限があるかもしれません。基本的には差はないはずです。

 

(Q)ベトナムやタイ等の海外事業における売り上げ分析も日本国内と同様に分析する事ができるのでしょうか?

できると思います!

 

(Q)Ask Data使った事無いです!もうちょっとやり方を詳しく…!

画面共有にて説明

日本語は文章にて質問はできないが、項目で探したりすることはできます。英語だとセンテンスで質問できます。

 

(Q)現在、BIツールが汎用化し、データ専門職以外も使えるようになっているのではないでしょうか。BIツールを使えるだけでは、専門人材としての価値が弱い気がしています。BIツールと何を組み合わせれば、人材価値が高まるのでしょうか。

一意見ですが、BIツールだけでも市場の需要はあります。ガチで使えるなら。何でも用途は無限です。杉井さんの場合「セールス×英語×ドイツ語×データ」のかけ合わせ。

 

(Q)<すごいのはわかるけど、導入しただけでは利益は上がらない>に対するいい感じのカウンタートークはありますか?

確かに導入しただけでは利益は上がらないですね。ROIを求めるのは難しいですが、実データを使ってメリットをみせると、理解してもらいやすいと思います。

 

(Q)今後日本で更に活用度が拡がるためにはどういう進め方が良いでしょうか。(つまりは社内導入を説得したいw)

最近よくやっているのは、成功体験や実際にTableauを使って出せるデータを経営者にみせるのが効果的です。

 

(Q)地方からの参戦なのですが、首都圏ではBI活用も進んでいる、多くの層が編集者として利用し始めているのを色んなコミュニティ界隈で見て感じます。ですが、地方や中小企業、実際に私の周りではぜんぜん進んでいないです。もっと拡がって欲しい。

私は今年から地方広域部門の担当で、Tableauも地方部門ができました!頑張っていきます!

 

(Q)技術的な質問になるのですが、異なる2つの接続先(例えばAmazon AthenaとAurora等)にあるデータソースを、カスタムSQLで1つに結合して抽出することは可能ですか?

できるはずです!オンラインヘルプかテクニカルサポートに質問してみてください。

 

(Q)ライセンス体系とかって調べればすぐに分かりますかね?分かりやすい情報求む!

基本Webサイトにあるものをみてください。それが分かりづらければ、営業担当か杉井さんにご連絡を!

 

(Q)これは使いこなしたい。でも使いこなせる自信が.どの程度の学習で使えるようになるのか気になります。完全に日本語化されていますか?あと、サンプルパターンとかも充実していますか?

ほぼ日本語で使っていただけます。色んなサンプルもネット上に落ちているので検索してみてください。

 

(Q)クレンジングは簡単ですか?(センス必要?!)

SQLで書くより簡単です!

 

(Q)クロス集計表がメインで、棒グラフまでしか見てもらえない文化にヒートマップとかブレットグラフを持ち込める気がしていません…いい事例があれば教えていただきたいです。

先月のconferenceでこのテーマが上がっていました。クロス集計の上に見やすいグラフをみせてあげると良いそうです。この手法をマネしてみてください。

 

イベントレポートは以上となります!

次回のレポートもお楽しみに♪