【連載#3】境界を行来する“マージナルマン”、スマートニュース社森山大朗氏が大切にする構造を読む力とは

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こんにちは!TECH Street編集部です。
前回、TECH Street会員が気になるヒト、ビジョナル株式会社CTO竹内真氏にインタビューをしましたが、今回は連載企画「ストリートインタビュー」の第3弾をお届けします。

「ストリートインタビュー」とは

TECH Street会員が“今、気になるヒト”をリレー形式でつなぐインタビュー企画です。
企画ルール:
・インタビュー対象は必ず次のインタビュー対象を指定していただきます。
・指定するインタビュー対象は以下の2つの条件のうちどちらかを満たしている方です。

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▼第2弾はこちら

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“今気になるヒト”竹内氏からのバトンを受け取ったのは、竹内氏のチームメンバーとして活躍されていた森山大朗(もりやまたいろう)氏。

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 早稲田大学卒業後、新卒入社したリクルートで人事や法人営業を経た後にIT業界に転身。マーケティングやエンジニア、HRスタートアップCEOを経て2013年に株式会社ビズリーチで求人検索エンジン「スタンバイ」を立ち上げ、エンジニアとしても検索精度向上に従事。2016年には株式会社メルカリに参画し、技術に強いPMやEngineering ManagerとしてメルカリUSとJP各国の検索アルゴリズム改善やMachine Learningを活用した新機能開発、エンジニア組織づくりまで幅広くリード。2019年にDirector of Search/AI/Data Scienceに就任し、メルカリの検索チームやMachine Learningエンジニアチーム全体を統括。2020年からスマートニュース株式会社に転職しTechnical Product Managerとなる。
Twitterアカウント: https://twitter.com/tairo
ブログ:https://unicorn-tenshoku.com/

 

――ご紹介をいただいた竹内様から“アートとサイエンス、両方のセンスを持ち合わせているダブルメジャーな方”とお聞きしましたが、どのような経験を重ねてきたことで、ご自身の思考が醸成されたとお考えでしょうか。その原点などをお聞かせください。

森山氏:大学でプログラミングを学んだ経験はなく、理数系でもないです。大学受験で数学を使ったくらいでしょうか。

新卒で入社したのはリクルートグループですが、就活当時、自分は何がしたいのか明確になっていなくて、ただただ働きたかったんですよね。学生に飽きてたし親に仕送りしてもらうのがもう嫌で、早く自活がしたかった。とにかくなんでも頑張ります!というスタンスでした。

ただ、一生同じ仕事や会社に勤めることはないだろうし、将来、何をやりたくなるかわからなかったので、とりあえず“ビジネスOS”というか、仕事をするうえで基本的な考え方や動作が身につくであろう、営業という仕事を最初にしっかりやっておきたいと思いました。ずっとやり続けるかどうかは別として、何かを売ってお金をもらうことは、すべての仕事の基本だと思っていたのでしょうね。

 

――その“ビジネスOS”という考え方はどのような感覚で捉えていたのでしょう。

森山氏:物事を段取る、要するに“何が一番の課題で、何をいつまでに、誰がどう進めていけば、この仕事は成果がでるのか”という捉え方というか、物事の見立て方や組み立て方は、どんな仕事をする上でも大切で、そのOSがリクルートに入社することで獲得できるのではないかと。

要するに、まずは「仕事ができる人間」になりたかったんでしょうね。で、OB訪問をしてみると会社によって仕事に対するスタンスは様々で。リクルートはカルチャーとして、前のめりで仕事ができそうな人たちが多い会社だとすぐに感じました。各業界の先輩方に話を聞いていても、職種がどうとかではなく、もっと土台にあるコンピューターのOSのような能力群があって、それが仕事ができるかどうかを左右しているのではないかと直感しました。

そもそも自分は幼少の頃から、どちらかというと物事の根底にある構造や、背景にある仕組みに目が行く性格で。

大学では「理論社会学」のゼミに所属していたのですが、世の中の現象だったり、日常のちょっとしたシーンの中に、“こういった構造や背景があるのではないか?”という仮説を見出す。そして、それを枠組みにして別の事象を説明しようと試みる。僕が学んだ社会学ってそういう学問なのですが、無意識にその考え方をベースに就活したのかもしれないですね。

 

――そもそも就活時に、文系理系を切り分ける意識はありましたか。

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森山氏:そもそも僕の感覚では、文系・理系って分けること自体がナンセンスだと思っているのですが、常識的には、分けた方が大抵の人にはわかりやすいのは理解できます。

ただ、これも大学のゼミで学んだことですが「常識」を使って考えるときと「理論」を使って考えるときは、得られる効用が全然違うのです。

常識というフレームワークを使って考えると大抵のことは説明できてわかった気になるし、あまり大きくは間違わないので省エネなのですが、反面すごく大雑把にしか物事を捉えられないから解像度は低くなる。

例えばプライベートな悩みにせよ会社の課題にせよ、個別具体的なケースを一般論でバサッと切られると、なんかムカつくじゃないですか。常識で考えるってのは「間違ってはいないけど、なんかモヤッとする」っていう、常にそういう宿命にあって、わかったような気になっただけで終わる可能性が高い。

ところが理論というのは、ある限定されたシチュエーションにおいて大きな力を発揮します。ある事象をよりクリアに、高い解像度で説明ができますし、結果的には深い理解が可能になる。

そういう意味で、過去の偉人が作り上げた理論を学んだうえで使えるようにすると、社会で何が起きてるか解釈しやすくなり、生きやすくなることもある。大学の時に教えてもらったこの「常識と理論の使い分け」は当時の僕にはとても印象的で、その後の職業人生、特に仕事選びや転職をするうえでも羅針盤になっている気がします。

ちなみに、もうひとつ大事なキーワードが「境界線上の人間=マージナルマン」という概念なのですが、これは全く別の考え方や風習・文化を持っている2つの社会の境界線上に立つ人間を指す用語です。

本来は2つの社会どちらにも溶け込めず、疎外された悲しい存在という意味だったりするのですが、僕がお世話になっていた理論社会学ゼミの教授はポジティブにとらえていました。歴史上どの時代においても、一見して真逆の性質を持った2つの規範や、社会の境界線上に立つ人間こそが時代を動かして来たんだ、と。だから活躍したかったらマージナルマンになれ、常に境界線上に立てと強調していたんです。

文系理系の話もそうですが、これとこれは別々のものだと安易に分けて済ませてしまうとそれ以上考えるのを止めてしまう。

私は文系だから、僕はエンジニアじゃないからプログラミングがわからないんで、とかそういう思考モードではなく、どうやったらその間に立つことができるか考えてみて、Aの側からBを見たり、Bの側からAを見たり。構造を読み解いて境界線を発見したら、そこを越境してみるというのが、僕のキャリアに繰り返し現れる共通パターンになっています。

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新卒で入社した当時、リクルートという組織文化の中にもいくつかの境目が見えました。ひとつは、演劇に例えるなら「役者」と「演劇を成り立たせる演出側」の境界線です。

これは会社という組織に大いにあてはまると思っていて、リクルートもそうなのですがスーパー営業人材っていますよね。そういう人たちは、用意された舞台の上で気持ちよく踊り続ける、いわば、演劇で言うところの「役者さん」なんですよ。でも一方で、それを支えている構造自体を作った人たちがいる。

僕は営業の世界でトップセールスみたいな人たちのマネはできないとすぐわかりましたし、そもそも構造を作る側に興味があった。だから自ずとビジネスモデルの構造や、プロダクトとそのつくり方に興味が移っていったんだと思います。

社会人1年目は人事でしたが、2年〜3年目は法人営業として、企業から求人案件を獲得し、依頼されたポジションに人を紹介して、内定承諾をしてくれたら紹介料が発生するという仕事でした。

そのために企業や求人の魅力を洗い出し、転職希望者に対してアピールします。言うなれば、目の前にある何かを売っていく仕事でした。ところが、世の中には、売らなくても勝手に売れていく商品、募集しなくても優秀な人が集まる企業や仕事内容ってのがあるんです。僕は当時、アピールを頑張らなくても、勝手に人から求められるものって、それが商品であれ企業であれ、どうやったら作れるんだろうって考えていて。

最終的に、そういった仕事は転職エージェント業界というより、インターネット業界の方が豊富にあると気付いて、3年でリクルートを離れることを決めました。

その後は自分なりに試行錯誤しながら必要に応じて業界や職種の境界線上を越えていき、メルカリで7社目、スマートニュースで8社目です。

あまりにも好き勝手に転職しているように見えるのか、リクルート時代の同期からは「転職芸人」などとからかわれています(笑)

とはいえ、今でこそ開発に関わる仕事をしていますが、キャリアの最初は人事と営業ですから、畑違いの職種からのスタートです。最初の転職は未経験で一足飛びに開発職には就けなかったので、まずはマーケティング職に自分の仕事の軸足を移しました。要するにピボットですね。

WEBマーケティング支援の会社でインターネットの仕組みとマーケティングの基礎を学び、企業研修を支援する会社では自社のコンテンツマーケティングを強化してGoogleからの流入を増やして売上を伸ばしたり、何でもやりました。その頃から少しずつPHPのコードを書いたりサーバーをいじったりして、徐々にマーケティング職から開発側に自分を寄せていきました。

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別の言い方をするなら、アート的な職域から、サイエンス的な職域に境界を越えていったわけです。

僕なりに「アートとは何か?」と問いかけるならば、キーワードは「再現性」です。

例えば、営業で飛び抜けた成果を出すスーパー営業人材って普通はアート的な存在です。その人たちにしかできない、その人なりの人格やキャラクターも含めた総合力でお客様との関係を築く。そのパフォーマンスは他の人からすると再現性が低く、であればもはやアートですよね。

でもマーケティングや開発の仕事は、もうちょっとサイエンス的というか再現性がある。仮説を立てて新機能をA/Bテストすると、そのインパクトが数字で出てくる世界。当時の僕は、背景の構造を考えるのが好きなので、仕事の中でもアートな領域からサイエンス性が強い領域に向かっていったのだと思います。

とはいえ、当時は世の中的にサイエンス重視だったのですが、最近になって少し流れが変わった気がします。時代の揺り戻しですね。

インターネット自体は仕組みでしかないので、そこに乗せていくコンテンツや、プロダクトの「意味ある違い」を作ったり、人の心をひきつけるミッションや熱狂的な雰囲気を組織内に作っていくような役割が重要になっていて、それってどちらかというとサイエンスというよりアートな領域だと思うんです。再現性が低いので、そういった才能を持った一部の人間にしかできない。

僕がどんどんサイエンス的な領域に向かって行った頃はインターネットが今ほど当たり前でなかった時代です。そこではインターネットに詳しくなること自体が重要でしたし、キャッチアップが早い人が有利でしたが、今はあらゆる人がスマホでYouTubeを見たり、自分なりに気軽に発信したりする時代です。であるなら、サイエンスを武器に生きていく一方、今度は逆に、今の自分にしか再現できない、アート的な価値をどう提供していくかを考えていますね。

 

――業界や職種を横断しつつも組織内で働いていた立場から、どうして自分が考えたサービスをリリースすることになったのでしょうか。

森山氏:結論から言うと、たまたまです(笑)

転機になったのは「WILDCARD」というサービスを作った時。これは当時、副業でコンサルしていたクライアントの役員が、ぼそっと「某社の内定者だったら速攻内定出すのにな…」って言ったので「じゃあ内定者しか登録できないサービスを作りましょう」と提案したら「子会社の経営を任せます」と言われて。それでつくったサービスです。

カードゲームのUNOでいうところの何色にもなれるカードの名前を取って、サービス名を「WILDCARD」と命名。すでに内定を持っている学生だけを対象にした企業スカウトサービスで、内定者である学生は、面倒な書類選考や1次面接、2次面接をスキップし、いきなり役員面接や社長面接に進める「飛び級できる就活サービス」として打ち出したら大きな反響がありました。

HR業界や人事界隈で良くも悪くも大騒ぎになりまして。。。

各企業の人事担当からは賛否両論大きく分かれて、当時は本当に、すごく褒められたり、めちゃくちゃ怒られたりと忙しかったです。ただこれって、自分なりのアイデアを世の中にぶつけたら、色濃い反応があったわけですから、僕にとってはたまらなく面白かったわけです。ものづくりの醍醐味ですよね。また、このサービスが当時『日本の人事部 HRアワード2013 雇用・採用部門』の優秀賞に選ばれたのも本当に嬉しかったです。

でも、ニッチなサービスだったので、どうせなら自分が携わるサービスをもっと多くの人に使って欲しいという思いが、沸々と湧いてきまして。そんな時ちょうど、僕が参考にするために登録していたビズリーチの人事と経営陣の間で「あのWILDCARDを作った人がビズリーチに登録している!」と話題になったらしくスカウトが来たんです。

 

――色濃い反応がある方が面白いとのことでしたが、それは必ずしも好意的な反応だけでなくていいのですか。

森山氏:はい。それでいいです。怒られもしないし、褒められもしないような、毒にも薬にもならないものを作っても仕方ないじゃないですか。

例えば、大手企業が既存事業の領域拡張をやるケース、医療やっていたけど金融もやろうみたいな、そういうケースであれば別ですけど。新サービスを作るということは、そこに、お客様にとっての存在意義がなければ意味ないと思うのですよね。世の中にたくさんあるようなものと同じようなサービスをただコピーしてもね。。。

例えば、いまをときめくビズリーチの最初の対象顧客って、代表の南壮一郎氏本人だと思うんですよ。創業前から南さんはハイクラス人材だと思いますが、そういう人って忙しいから、複数の転職エージェントに会う時間はない。しかも、基本的に無料で使える転職サービス業界の構造が見えてきて、色々と課題も感じた。であれば、個人としてお金を支払ってでもいいから厳選された情報だけ欲しい。そんなサービスないかなという目線で作ったのがビズリーチだと思いますし、それが存在意義だったはずです。欲しいサービスがあるんだけど、ないからつくった。そしたら他にも欲しい人がいたからサービスが成長したということです。

 

――「構造を読み解く力」というのは、仕事をする上で役に立っていますか? 

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森山氏:構造を読み解く力は、初めて見るものであっても、既知の別の構造を当てはめてみることで全体像を類推できたり、仮説を立てるのに役立ちます。

そして、個人的には非常に役に立っています。大袈裟かもしれないですが、僕はこの力でこれまで飯を食ってきたのではないかとさえ思います。今はスマートニュースでテクニカルプロダクトマネージャーという役割で働いているのですが、技術的にややこしい案件をちゃんと形にしていく役割です。

僕は必ずステークホルダーと背景と要件を可視化し、それぞれどんなことを要望していて、何がどうなったら成果が出たと言えるのかを整理して定義します。全体像を俯瞰して、システムに変更を加える箇所をプロットしてエンジニアとディスカッションします。こういうシーンでも使える力ですし、多くの仕事で役に立つんじゃないかなと。

 

――エンジニアがそういった「構造を読み解く力」を身に着けたいと思ったら、どうすれば良いのでしょう。

森山氏:ある程度経験を積んだエンジニアであれば、ただ単に要求仕様に沿ってコードを書くだけではなく、もう少し全体像を見ながら考える力を持っている方が多いです。

同じ機能を開発するにしても、背景を理解した上でより工数が少なく、より仕様変更に耐えられるような強い仕組みに変更するように提案するスタンスが身についてる方もいます。それっていわゆる設計力で、それを意識することで構造が見えるようになります。まずは俯瞰図を書いて、次にそれぞれの部品の、もう少し詳細のさらに詳細みたいな、超俯瞰と超詳細、超抽象的な視点と超具体的な視点を、専門領域においてタテ方向に猛烈に行き来して仕事をしているエンジニアほど成長が早いのは間違いないです。

また、個別の専門性をつきつめていくと同時に、全体を俯瞰したうえで別の技術スタック(バックエンド、フロントエンド、インフラなど)も深堀りしてみたり、それを繰り返す中で技術の全体像がわかるようになっていく人がいます。

そして、さらにプロダクトのデザインやビジネスサイド、組織課題にも目を向けて構造を見立てられるようになると、CTOのような技術経営者としても役割を全うできるのではないでしょうか。僕にこのインタビューのバトンを渡してくれた竹内真氏は、まさにこういう領域で国内トップクラスの人材だと思っています。

構造が見えてくると物事の境界線が見えてくるので、必要に応じてそれを越境してみることは、ご自身の希少価値を高めるキャリア戦略という意味で重要です。

例えば、組織内においても、エンジニアサイドとビジネスサイドの境界線に立って、双方の専門用語を翻訳できる役割は常に重宝されます。2つの異なる世界を知っていることで、自分を介して情報やコミュニケーションの精度が上がるからです。それって、マッチングのハブ(つなぎめ)になってるということなので。

思えば僕のキャリアの大半は「マッチング精度の向上」でしたし、今もそうです。

リクルート時代は転職エージェント事業が人と仕事との直接的なマッチングでしたし、ワイルドカードでは、無意識に隠れたスカウト対象としての内定者と企業役員とをインターネットつなげた。

ビズリーチやスタンバイでは求人企業と人のマッチング、メルカリは個人が持っているモノ同士のマッチング、スマートニュースではニュースや広告と人とのより良いマッチングを考えています。僕にとってこれは、応用問題を解くような楽しい感覚ですね。

 

――森山さんは「検索改善のプロフェッショナル」としても知られる存在ですが、その点についてはどう思われますか。

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森山氏:確かに、気が付けば7年ほど検索かそれに近い領域で仕事をしているので僕のキャリアの中では最長ですね。

一般的には「サーチエンジニア」と呼ばれる専門職だと思いますが、国内はYahoo!、楽天、リクルート、メルカリなど限られた企業にしか在籍していません。検索機能が重要で、お客様がたくさん使っているサービスの数が限られているからだと思います。GoogleだとシリコンバレーのMountain Viewにサーチエンジニアが多く在籍していますが、いずれにせよ、世界的に見てエンジニアの絶対数は非常に少ないです。

そして、いわゆる検索体験を構成する”検索技術”そのものに詳しいエンジニアが多い中、僕はECやマッチングサービスを検索技術だけではなく、検索体験全体から改善を試みてきたという、どちらかというと変わり種です。

僕の場合、たまたまビズリーチで技術を集中的に学ぶ機会がありました。「スタンバイ」という求人検索エンジンとアプリを開発する際、検索技術そのものと検索品質をどう評価するかという方法論を学ぶため、2015年〜2016年当時はYahooさんに出向とまでは言いませんが、かなり入り浸っていました。そこでかなり勉強して、自分でコードを書いて試行錯誤する事も増えていき、成果も出た。

その経験が買われて今度はメルカリに参画し、他に類を見ない「CtoCのコマース検索」改善の責任者という役割を任されたのだと思います。

 

――森山さんにも企業や仕事の選択理由があると思うのですが、どういう基準で職場を選ぶのですか。

森山氏:ビズリーチからメルカリへの転職は、日本発で海外に挑戦したかったのと「CtoC」という未知の領域に知的好奇心がうずいていたからです。メルカリは本当にすごい会社で、素晴らしい同僚たちに恵まれましたし、あの3年2ヶ月は今でも僕の宝物です。

そして、メルカリからスマートニュースへの転職については、きっかけがあります。当時、検索アルゴリズムとUI、見た目の操作性の改善については、ある程度やり切った感があって。また、僕が責任を持っていた開発組織も70名を越える大所帯になってきたので、誰かに任せてメルペイに異動させてもらうおうと思っていたんです。

そんなとき、Linkedin経由で普段はヘッドハンターばかりなのに、たまたまスマートニュースなどの人事担当から、スカウトメールが来たのがきっかけです。まさに虫の知らせというか「そろそろそういう時期なのかな」と感じまして。

実はそれくらいの理由で転職を考えましたね。ただ、他にも選考が進んでいく中で、最後は「創業経営陣への共感」と「成長のポテンシャル」で決めた気がします。

 

――最後に、選ばれる人材になるのって何がポイントだと思いますか。

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森山氏:その人材が提供できる価値が、求人ポジションに上手くマッチするかが基本ですが、それ以外にも「その人自体にレアリティがあるかどうか」

要は希少性も重要です。ただ、その希少性がきちんと表現されているかどうか。その人が成し遂げてきたことや、人となり、考え方みたいなのが、なんらかの形で表現されてブログなりSNSなりコンテンツになっていないと、どれだけ実力があっても、発見してもらえないですからね。

僕自身、希少性を意識的していたわけでないです。狙って「ワイルドカード」を作ったわけでもないですしね。ただし、それが次のビズリーチに繋がりましたし、ビズリーチで検索をやるとも思ってなかったです。

でも、それを深く学んだことで、今度はメルカリに参画することになりました。これらは、事前にはまったく予想していなかったことです。ただ、世の中における需要と供給の関係はそれなりに考慮していたと思います。要するに「長期的に需要が増え、供給が不足する職種は何か」であり、最初の転職は業界ごと移籍していますが、僕はいまでもその時の決断の恩恵を受けているんだと思います。

 

――そんな森山さんの今後のビジョンを教えてください。

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森山氏:ビジョンとか、実はわからないまま動いているんですよね(笑)。

ただ今後は企画と開発を束ねる役割はやるにせよ、中心的な活動ではないような気がします。今の時点で僕のレアリティは何かというと、メルカリで働きまくった後、スマートニュースに参画したことだと思います。この2匹のユニコーンに共通していることや全然違うこと、一般的なベンチャー企業とユニコーン企業は、内側から見ていると何が違うのか。

組織の作り方、カルチャーの作り方、様々な切り口で、何が違うのかを僕は自分の転職経験から語ることができます。時々、そんなテーマでツイートをするとけっこう反響がありますし。僕がこれまでのキャリアを通じて目の当たりにしてきた事や試行錯誤について、興味を持ってくれてるフォロワーの方がいるのは嬉しいです。

 

――これからの時代、エンジニアはどういったスタンスで働いていくべきか、ご提言いただけますでしょうか。

森山氏:僕みたいなハチャメチャな経歴の人間が何かアドバイスをするのはおこがましいのですが。。。

ただ、メルカリとスマートニュースで働いて見えてくるのが、英語で仕事ができるエンジニアとしてグローバル競争に参加しゴリゴリ戦っていくか、はたまた、あくまで国内で専門性を突き詰めて、有名エンジニアあるいは経営陣になっていくのか。この2つの道は、全然違うということです。

なので、なるべく早く明確な決断をした方がいいと思います。グローバルの方に行くのであれば、英語から逃げなければ給与は上がっていきます。開発スキルに関しては、日本のエンジニアがシリコンバレーのエンジニアに劣っていると思ったことは、僕は一度もありません。めちゃくちゃ優秀ですよ、日本のエンジニアって。

そして、後者であれば、日本という経済圏の中でこの領域ならこの人、みたいな指名される立場を確立していくという道になります。そして、その道を行くのであれば、個人としてどんどん発信をしていった方がいいと思います。メルカリにもそういうエンジニアの方は何人もいたのが印象的でした。

 

――ありがとうございます。最後に次回のインタビュー対象をご指定いただけますでしょうか。

森山氏:次は、僕をメルカリに紹介してくれた恩人であり、僕が知り得る中でいま最も「新しい働き方」をしている、樫田光さんにつなぎます。

データを定量的に扱うことに長けている一方、周りの人間がワクワクするような仮説を立てて経営を巻き込んで行くセンスがあり、個人としても発信力がある超レアな人です。 そんな彼にバトンを渡したいと思いました。 

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以上が第3回のストリートインタビューです。森山さん、ご協力いただきありがとうございました!
次回は、株式会社メルカリでデータアナリストを務めながら株式会社ピースオブケイクにてnoteのグロース戦略顧問なども務める樫田光氏のインタビューをお届けします。今後のストリートインタビューもお楽しみに。

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(取材:伊藤秋廣氏(エーアイプロダクション) / 撮影:古宮こうき氏 / 編集:TECH Street編集部)