【イベント参加レポート】Developers Summit 2020

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こんにちは!TECH Street編集部です。2020年2月13日(木)〜14日(金)、東京・目黒にて「Developers Summit 2020(通称デブサミ)」が開催されました。本記事では、TECH Street編集部も参加したデブサミ1日目の様子をレポートしていきます。

Developers Summitとは?
「Developers Summit」は、翔泳社が主催するソフトウェア開発者向けのカンファレンスです。2003年の初開催から毎年開催され、関西や九州でも開催。2020年度初開催となる今回は「ともにつくる」をテーマに若手エンジニアからプロダクトマネージャーまで幅広く集結し、様々な開発ジャンル応えるセッションが行われました。

イベント詳細こちら:https://event.shoeisha.jp/devsumi/20200213

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会場は今年も「ホテル雅叙園東京」で開催されました。朝早く開場前からたくさんの人で賑わっていましたよ。

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13日は48のセッションが行われましたが、どのセッションもほぼ満席状態!TECH Street編集部では以下5つのセッションを聞いてきたので、各セッション内容をレポートしていきます。

■doda開発者が語る IoT&サーバレスでビジネスサイド変革に挑戦した話~イノベーション観点のダッシュボタン&負債から進化したアーキテクチャ~(上源 勇朗氏/ パーソルキャリア株式会社)

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本セッションでは、アルバイト求人サイト「an」(2019年11月に終了)で試用されたIoTダッシュボタンによる業務改善と、転職求人メディア「doda」における事業改善のためのアーキテクチャの負債解消について語られました。

IoTダッシュボタン
実はAWSを使えばエンジニア1〜2年目でも簡単に、そして安価にIoTボタンを構築できると上源氏は説明します。実際のアーキテクチャの詳細も公開するとともに非エンジニアの営業担当であってもスマートフォンを使って本番リリースが可能なデモンストレーションも見せてもらいました。

アーキテクチャの負債解消
次に、同社のサービスdodaのアーキテクチャ負債を改善させている中での思考ポイントをシェアしていただきました。まとめると以下3つが重要ポイントでした。

・「古いから負債ではない」流行りのアーキテクチャに闇雲にのってはいけない
・アーキテクチャの進化だけでなく、リリース後の運用も考慮する必要あり
・負債が発生するポイントを理解して、負債になる前に対処する仕組みが必要

最後は、エンジニアの人たちがイキイキと働けるように、そしてより良いシステムを提供するために強い意志をもって負債に挑み事業成長を目指すことが大切という内容でセッションは終了。

■Let's Dive in Developer Community!(小田 祥平氏 / 日本マイクロソフト、加藤 健大氏 / テイ・デイ・エス)

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続いて、こちらのセッションでは、コミュニティってそもそも何?というところからコミュニティに参加するメリットをDevRel Meetup主催者の小田氏から、そしてプロトタイピングツール「Noodl」のコミュニティを昨年から立ち上げて成功した事例を加藤氏から語っていただきました。

エンジニアのコミュニティとは
ある「関心軸」に対して、企業の垣根を超えてオンライン・オフラインで集まる場所や集団のこと。「関心軸」とは、製品・プログラム言語・地域などの関心軸の掛け合わせ。開催形式はLT形式・ハンズオン・もくもく会などがあるそうです。

コミュニティのメリット
実は運営者も参加者も同じで以下4つのメリットがあるとのことです。
・情報共有・学習:コミュニティでアウトプットするとアドバイスをたくさんもらえる、そして自分が学びたい内容をタダで学べる
・仲間との出会い:仲間に出会えることで自分のモチベーションもあがる
・外のモノサシがわかる:会社内の上下関係なしに自分の実力が外のモノサシによってわかり、次に自分が勉強すべきことがわかる
・とにかく、楽しい!!

「Noodl」のコミュニティ
立ち上げ当初はハンズオンの参加者2名という状況であったNoodlコミュニティ。加藤氏は、TECH Streetでもインタビューをさせていただいた小島英揮氏のコミュニティマーケティングを実践すること(オフライン・コンテクスト・アウトプット)と、他のコミュニティにも参加してみることを行ってみたんだそう。実践後、コミュニティ活動からビジネス案件化するものまで出るようになり、イベントの参加者も満員になるほど成長したとのことでした。今後についてはコアユーザーがやりたいことを実現するサポートを続けていきたいと話していましたよ。

小田氏によると実はコミュニティに参加しているのは全体の上位5%、さらに登壇したり外に向けてオンラインドキュメントを共有するだけで上位1%にはいれるといいます。絶対にやったほうがいい、お得!優勝!なんていう言葉もあり、筆者も勇気を出して発信側にまわってみたい、と思うきっかけとなるセッションでした。

■インターネットが変えた世界・変える未来(伊勢 幸一氏 / さくらインターネット株式会社)

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さくらインターネット社 伊勢氏のセッションは、出現から約30年が経過しようとしているインターネットにおいて、これまでの歴史変遷を総覧し、今後の世の中に起こる未来を予測するという内容でした。

まず、「この参加者の中でUNIXを知っている方はいますか?」という質問でほぼ手が挙がらない状態からセッションはスタート。C言語の登場やTCP/IP論文に「インターネット」という単語が初めて登場した揺籃期、世界初のウェブブラウザMosaicが登場した萌芽期を経て、ネットワークがホスト/デバイス間からホスト同士に変わったことやEmailの登場でFAXや国際郵便などが激減したことなどが考察されました。
Windows95がリリースされてからを黎明期として、Yahoo!BBをきっかけにISPの競争が激化、ネットへのアクセス方法が変化したことでよりウェブコンテンツがリッチになり大衆でのインターネット利用が浸透したとのこと。そして2008年についにiPhoneやAndroidが発売されモバイルファーストの時代へ。スマホがライフアイテムになり、SMSやSNSの登場で情報量が爆発的に増加した結果に。

これらの歴史から伊勢氏は、「イノベーションはエッジの変化によって起こる」と説明。つまり、何か大きな変化というのは技術やサービスからではなく、Mosaicのブラウザ・Windows95・スマホのようにユーザ体験が大きく変わるものが出た瞬間にパラダイムシフトが起こると述べていました。
それを聞いて、ブロックチェーンやエッジAIのような技術からではなく、ユーザ側により近しいVR/ARやMaaSなど今まで体験できなかったものが身近になった瞬間にイノベーションが起こるのだと腹落ちしました!

■礼節から育てるチームの健康と信頼性(塩谷 啓氏 / クラスメソッド株式会社)

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礼節からチームを育てるってなんだろう?という興味から参加したこちらのセッション。個人でもチームでも成果を出すための近道は、礼節ある態度が必要である、という内容でした。

塩谷氏によると成果を出すチームにおいて「建設的な衝突」を人間関係のリスクなしに行えることが不可欠、そして「建設的な衝突」は「心理的安全性」があればこそ行われると言います。塩谷氏流に「心理的安全性」を説明すると、“カジュアルに(=対人関係にリスクがない状態で)やばいこと(=不確実なこと、不安なこと)をいえる雰囲気”とのこと。さらにその「心理的安全性」の土台となるのが「礼節」。攻撃的な言動やチームへの無関心など、礼節の反対=無礼な態度はまわりの健康を害するなど、チームのメンバーにとって有害となってしまうのだそうです。

チームで働く上での礼節
・礼節はチームメンバーとしての責任なので周りに敬意をもって接しよう
・コミュニケーションにおいて“やばい“ことこそ礼儀正しく言おう
・不健康→不機嫌→無礼ではプロ失格!健康を失うと礼節どころではなくなってしまうので、心も体もリセットしながら健康でいよう
セッションを聞いて、上記3点が重要であると感じました。こんなの当たり前、自分はできている、なんて思いがちな部分ですが、今一度自分の行動を客観的に見直して自分だけでなくお互いが幸せに働けるチームでいたいなと改めて感じました。

■エンジニアと人事がともに考えるエンジニア採用(伊藤 哲弥氏 / LAPRAS、安立 沙耶佳氏 / ヌーラボ、梶原 成親氏 / ヤプリ)

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採用担当者と求職者の間にある採用に関する情報格差を減らすべく活動する「転職透明化らぼ」の方が中心となって、主にエンジニア採用市場やカジュアル面談、Job Descriptionについてお話をうかがいました。

LAPRAS社のデータによると、2030年までにIT人材は約30万人不足するといわれている中、企業からのスカウトメールを受け取っているエンジニアはLAPRAS社DBのうち1%にしかすぎないということに驚きました。特に優秀なエンジニアへオファーが一極集中している状況で、エンジニアはただ仕事をするだけでなくアウトプットをすること、世間で求められている技術領域を理解することが求められるとのことでした。企業側としては、転職求人倍率が11倍という現状でいかに求職者から選ばれる存在になるかが大事で、そのためには認知・共感・希望・コミットという段階を踏んでもらい、カジュアル面談では人事部ではなく現場メンバーや役職者などエンジニア自身が採用に関わることが重要といいます。

ヤプリ社梶原氏からは、Job Descriptionは単に職務や技術要件を記載するだけでなく、業務内容や進め方、さらには現在の課題や採用背景、将来の理想像や環境・ツールなど、求職者が入社してから実際にどういう業務をどのような環境でどのように進めるのか想像できるものを提示する重要性を述べられていました。
発表されたどの企業も、カジュアル面談含め採用選考のプロセスや内容に対してエンジニアが積極的に関与していて、採用をいかに重要経営課題と捉えているか理解できました。

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企業のブースでは、12月4日(水)に開催されたTECH Street初のイベント「サービス開発における「ユーザー認証」についてエンジニアが本音で語る会」の事例でも紹介させていただいたAuth0さんを発見しました。美人すぎるマーケティングのお二人をしっかり収めてきましたよ◎

終わりに

筆者は初めてデブサミに参加しましたが、自分が興味のある内容を学ぶだけでなく、幅広いカテゴリのセッションや展示を通して、新しい技術や知見を学ぶことができました。また、現状課題に感じていることをプレゼンターにも質問を投げて解消することができとても有意義な時間となりました。引き続き、様々なイベントに参加してレポートをしていきたいと思いますので、乞うご期待。

TECH Streetの今後の予定について

応募者の方にはメールでお知らせをいたしましたが、昨今の新型コロナウイルス感染症に関わる状況が急激に変化していることを受け、以下のイベントを中止とさせていただくことになりました。

・【RPA Night】事業会社のRPA推進あるあるを本音で語る会 ~RPAライブコーディング同時開催!~

・TECH StreetコミュニティMeetup #1

開催を楽しみにされていた方々には、大変申し訳ございません。イベント開催の再開等の最新情報はメールマガジンにて配信します。