【イベント主催レポート】「ギグエコノミー」から見る未来の“はたらく”と企業がクリアにすべきITガバナンスの現状と課題

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こんにちは!TECH Street編集部です。2020年1月21日、東京・大手町にてTECH Street主催イベント第二弾を開催しました!今回のテーマは「『ギグエコノミー』から見る未来の“はたらく”と企業がクリアにすべきITガバナンスの現状と課題」。

アメリカからのゲストスピーカーをお呼びしてのイベントとなりました!本記事では当日の様子をレポートしていきます。

今回のイベント開催の背景

近年、日本の労働力不足は社会課題となっています。今後企業は、就業場所・就業時間に縛られず、多様化する個人が柔軟に働ける労働環境の構築を行うなど、減少する労働力を補てんする施策が必要となってきます。もちろんその施策を実現するにはIT・テクノロジーの力が必要不可欠であり、それらを駆使して今後も新たなビジネスやサービスを開発し続けなければいけません。

今回のイベントは、まず多様化する個人の働き方の一つとして話題となっている「ギグエコノミー」について国内外の市場動向から学び、そのような新しい市場に適応したビジネスやサービスを開発する上で多くの企業が課題としている情報・ITガバナンスについて参加者同士で語り合い、悩みや情報をシェアするために企画されました!

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平日の夜にも関わらず、たくさんの方々に集まっていただきました♪もちろん、TECH Streetコミュニティはカジュアルにいこうよ!ということで、乾杯からスタート!

「ギグエコノミー」国内外市場動向 / クリエーションライン株式会社 鈴木逸平氏

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▲クリエーションライン株式会社 鈴木逸平氏

クリエーションライン社においてCSO(Chief Strategy Officer)を務める鈴木氏にお話いただきました。鈴木氏はアメリカ・ロサンゼルスにお住まいですが、なんと今回このイベントのために来日いただきました!本プレゼンでは、日本ではまだあまり聞き慣れない就業モデル「ギグエコノミー」について国内・海外市場における最新の動向を語っていただきましたよ。

ギグエコノミーとは、DX(デジタルトランスフォーメーション)を構成する要素のひとつで、一時的なものを生業としたビジネスによって構成される経済圏、もっと広義にするとフリーランスのことなんだそう。「ギグエコノミー」というキーワードを事前に聞いたことがある方は1名という状態でスタートした本プレゼンでしたが、基礎的な知識や現状の市場規模から複数の調査結果、就労上の課題まで幅広く解説をしていただきました。

・ギグエコノミーの市場規模
ギグエコノミーの市場全体としては、今後急激に伸びていくという予測がされているそうです。ここからは、国内外のフリーランスに対する調査結果をもとに、フリーランスと主にミレニアム世代の関係性についてのレポートと鈴木氏の見解を語っていただきました。

調査①
この調査によると、未来の不確定要素に対する不安が強いのがミレニアル世代の特徴とのこと。理由は、リーマンショックや湾岸戦争、特に日本では就職の氷河期というあまりいい思いをしていない世代であるのが理由だといいます。不確定要素の多い未来を生き延びるためには、自分のスキルを伸ばすフリーランスという道を選択、つまり「ミレニアム世代にとって1つの会社にくらいつくのはセオリーとしてはありえない」と鈴木氏は語ります。彼らにとっては、複数の会社で働くことが常識であり、当然のことでリスク分散が働き方の基本となっていて、2027年にはミレニアム世代の進出でフリーランスが業界の主体になるのではないかという予想もあり驚きでした!

調査②
あるサーベイ結果を①収入②キャリア③ワークライフバランスの3軸をもとに解説していただきました。まず、①収入については、過半数が2年で収入ゴールを達成しており安定度が高く、②キャリアとして54%はフルタイムに戻る意思ないとの結果に。③ワークライフバランスについてはミレニアム世代に特化して結果を見ると35歳以下のフリーランサーは特に定着し、過半数がワークライフバランスに満足。働きたいときに働いているので家庭に使う時間が多くこのような結果になったのではないかと鈴木氏は語ります。

調査③
フリーランスは意外にも先進国ではなく発展途上国(インド、メキシコ等が顕著)で急成長しており、日本は先進国の一部ではフリーランスに対して消極的という結果が出ているそうです。また、世代によってギグ・エコノミーへの考え方・捉え方が異なり、世代によってギグ・エコノミーの位置づけが違う、といいます。家庭のために確保する時間を傷つけたくないミレニアム世代は、フリーランスを正当なキャリアとして認識している一方で、ベビーブーマー世代は自分の経験を生かした仕事を自分で選ぶことに重きを置いており、質の高い仕事を選ぶ傾向にあるとのことです。

就労上の問題
ここまでは、フリーランスの拡大についてみてきましたが、まだまだ課題も...。集団訴訟や倒産になった会社もあり、特に従業員とフリーランスの定義の違いによって問題が起きてしまう等就労上の問題はまだまだあるようです。

未来の“はたらく”と 企業がクリアにすべき情報・ITガバナンスの現状と課題 / パーソルキャリア株式会社 橋本紀子氏

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▲パーソルキャリア株式会社 橋本紀子氏

続いてのプレゼンでは、ギグエコノミーなどの新しい就業モデルが広がっていく中で、どうしたら攻めの開発と守りのガバナンスのバランスが取れるのかについて語っていただきました。橋本氏のプレゼンはこんなスライドからスタート。

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なんとこの数字は、今回のプレゼン資料を作るために申請した著作権・二次利用の確認の数(件)と橋本氏がその確認に要した時間(hour)なんです...!多い!!ここからは、テクノロジーの進化に対して、ガバナンスが追いつかなくなっている現状と、橋本氏流の乗り越え方を伝授していただきます。

日本における事例:Lime
電動キックボードシェアのLimeは世界各国に拡大しているものの、日本での展開はかなり慎重に行っているのだとか。福岡での実証実験では、参加者からの好意的な意見が多いものの、キックボードシェアサービスは下降気味と橋本氏は言います。例えば、シンガポールでは、電動キックボード等に対して新たに歩道での走行を禁止し、罰金を科す法律が施行されるなど、後付けの法律がサービスの拡大を阻害してしまっているそうです。サービスのローンチ後に法制度を整えていくがスタートアップだったりするのに、自分のせいではないけど新しい法律によっていろいろ芽を摘まれてしまい、対応が十分でない形でローンチした結果、どんどん縮小してしまう状況にある、と橋本氏は語ります。

アメリカにおける事例:開発特許
日本以外でも法律が阻害してしまう例があるとのこと。例えば、アメリカの開発特許において、人ではなくAIで著作権を申請したところ棄却。今後もAI技術が進んでいくなかで、同じように判断の難しい課題が発生したときに既存の法律に基づくと解決できない事が増えている、と言います。

法務・セキュリティvs企画
企業を守ろうとするのが法務・セキュリティで、攻めの経営をするのが企画。どちらも正しいのに、どうしても埋まらない溝がある....橋本氏は、そもそも目的が違うので向いている方向が違うと言います。

法務・セキュリティvs企画に対して「本質を揃える」
新しいことを始めるためには、お互いの本質を揃え、お互いが理解できる形=誰もがわかる言語で語る必要がある、と説明。やりたい思いを伝えるのが企画であるので、法的ロジックに合わせて自分のやりたいことを伝える必要があるといいます。
本質を共有し、新しい世界を想像することが必要で、まとめると以下3つを語っていただきました。
①一緒に抜け道を見つけてくれる“共犯者をさがす”、グレーゾーンの脱出!
②ビジュアル化して(1枚の絵)誰が何でどのくらい稼ぐのかをわかりやすくまとめ、ガバナンスの担当者に意見をもらいながら問題を見つけてもらう
③早く技術適用することに集中しよう、1日も早く自分たちがやりたいことをやろう!

ここからは懇親会スタート!

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懇親会では、プレゼンター鈴木氏よりお土産のワインを参加者に振る舞っていただき、会場の一角がまるでバーのような雰囲気に...!発表に対する質疑応答やディスカッションがもりあがっていました。そして別の一角ではプレゼンター橋本氏を囲んでプチ女子会が繰り広げられ、こちらも様々な意見が飛び交い大盛況のうちに終了しました!

最後は全員で集合写真(流行り?のパ○リ○ポーズ?)

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イベント終了後のアンケートでは、なんと参加者全員に「非常に良かった」「良かった」と回答していただきました!プレゼン中は、共感のうなずきや「なるほど〜」という声も聞こえてきて、とても有意義に過ごしていただいたと思います。「想像以上の内容でいい意味で裏切られました。次回も期待しています」というコメントもいただきました。本当にありがとうございます!

また、参加者の方々に「IT・テクノロジー関連で今気になっているキーワードやテーマ」を伺ったところ、下記のキーワードが挙がりました。

ギグエコノミー/DX/ブロックチェーン/ログ管理監視/リーガルテック/マルチクラウド/法務/フリーランスとして何がもとめられているか、どういう働き方がかなえられるのか/フリーランス/フィンテック/認証認可/イノベーションのジレンマ/XR/SDGs/RPA/HR/AI/5G

今回挙がったキーワードの「RPA」は、2020年3月10日(火)にイベントを開催予定ですので、気になっている!という方はイベントページをチェックしてみてくださいね。

今後も参加いただいた方の知識や人脈が拡がるようなイベントを開催できるよう、運営一同頑張ってまいります! 

今後の予定

TECH Streetコミュニティ初のMeetupを開催いたします!ぜひ一緒にお酒を飲みながら、ご飯を食べながらカジュアルに交流しませんか?皆さんの参加をお待ちしております!

▼▼お申し込みは以下からお願いいたします▼▼
※TECH Street会員限定イベントとなります。

www.tech-street.jp

 今回のイベント参加者の気になるキーワードでもあった「RPA」のイベントも開催いたします。なんとライブコーディングもあるのでぜひ参加してみてくださいね。

▼▼お申し込みは以下からお願いいたします▼▼
※TECH Street会員限定イベントとなります。

www.tech-street.jp